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全建センター第32回大規模修繕工事本音セミナー 11/26 東京・京橋 住宅あんしん保証本社会議室にて

セミナー会場風景

全国建物調査診断センターは11月26日、東京・京橋の住宅あんしん保証本社会議室で第32回大規模修繕工事本音セミナーを開きました。今回は川崎市のパークシティ溝の口から元理事長の鈴木寿一郎氏を招き講演を行っていただきました。
講演後は、㈱KAI設計の菅純一郎代表と㈱リノシスコーポレーションの佐藤成幸専務を交えたスペシャルトークショー。さらには会場の参加者からも活発な意見交換が行われ、非常に盛り上がったセミナーとなりました。
ここでは大好評を博したセミナーの一部を掲載します。<構成:編集部>

パークシティ溝の口管理組合の紹介
所在地/川崎市高津区
物件概要/1984年(昭和59年)竣工・SRC造・15階建て・12棟・1,103戸
・都心へのアクセス、ショッピング等の利便性と、緑豊かな自然のバランスのとれた環境から「資産価値の下がらない優良物件」として周囲に認知されている。
(参考)築34年目で76.8㎡の価格が約5,000万円という物件情報あり
・2005年に立ち上げた修繕委員会による資産価値維持活動は、筑波大学の「マンション再生の成功事例」でヒアリング調査を受けるなど、高い評価を受けた。
・防災・減災・高齢化対策として、住民防災組織による「災害対策名簿」を整備。「安心・安全な暮らし」のために住民自ら積極的な活動を行っている。
・「SUUMO新築マンション首都圏版」の特集ページ「個性派21選!『名作マンション』の秘密」に、家と人の老いに向き合い「築100年」を目指すマンションと紹介された。

大規模マンション元理事長経験談
「なんと言ってもコミュニケーションに尽きる!!」
パークシティ溝の口管理組合 鈴木寿一郎元理事長

鈴木寿一郎氏

私のマンションは渋谷まで田園都市線の急行で14分、大井町線も溝の口発になりました。敷地の中にイトーヨーカドーがありますし、歩いて3分くらいで丸井があります。買い物には非常に便利なのかなと思っています。
現在も、坪単価で200万円を維持しているマンションです。理由は、初期の分譲のころは抽選など大変だったらしいのですが、最初に入居された方々が、住み続けられている、またその 息子さん娘さんがパーク内で別部屋を購入され 2世代で住まわれているかたが 130世帯くらいいると推測しています、つまり 空き部屋がでるとローカル、それもパーク内でも消費されてしまうので 流通性がとても低いということが価格が維持されている大きな理由の一つだと思います。


管理組合は区分所有者の集まりですけども、大規模なのでちょっと変わっています。
毎月1回合同会議というものをやっています。12棟ある各住棟の会合と、理事会の会合を2つやらなければいけないのですけども、似たようなことをやっているので、先人の知恵で合同会議と名付けて、月1回、住棟の会議と理事会と…さらに年1回の総会も2段積みで、午前中に住棟総会をやって、午後に管理組合総会をやるようなことになっています。
管理組合には今、7つ委員会があって、修繕分科会、防災・防犯分科会、環境分科会、財政分科会、規約総務分科会、広報分科会、それと昨年管理会社を変えたので、委託業務分科会がこの合同会議にぶら下がっています。
このマンションの強みといえるのは、さらに専門的な組織がありまして、修繕分科会の下に修繕委員会というものがあって、環境分科会の下に植栽委員会、ペット・ファミリークラブ、広報分科会の下にホームページ委員会がぶら下がっています。

私は平成24年度に理事長をやり、翌年は理事長補佐と広報担当をやりました。ただ、理事就任に当たって、これまで一度も総会に出たこともなければ、大規模修繕の住民説明会とかにも1度も出たことがなく、また欠席裁判で理事長を命じられまして、これはもう逃げ出すしかないと、本当に引越しを考えました。
そこでやる気になった理由は、修繕委員会に人格の優れた、本当に素晴らしい方がいたのです。この方にマンションの思いをお話しいただいて、こんな人がいるならやらなければならないと思ったのが一つ。もう一つが、同時に僕と同じジェネレーションの方が5人集まったということで、スイッチが入りました。
そこからは管理組合フリーク的に埋没していったというところです。
30年も経っていると、過去を否定する気はありませんが、なにかこう、凝り固まってきちゃうんですよね。そういうこともあり、過去の風習・習慣にとらわれず、摩擦を恐れず、改革・改善の実行をはじめました。
理事長として実行したことで大きかったのは管理組合の任期の複数年化です。世帯数が多く全住民に役員を経験させたいので単年度主義だったのです。
でも理事になったところで1年じゃ何もできないですね。そこで、継続役員制度というのを無理やり導入しまして、当時の理事10人くらいが2年目も継続しました。
経験して個人的な感想としては、色々な改革・施策を実行するには4年間程度 理事、理事長やらないと達成出来ないと思います。

コミュニケーションはすごく大事だと思っていて、ホームページをつくり、委員会も新設しました。
自治会の組織とのコミュニケーションがまったくなかったので、自治会の月次の会議に理事長が出て行って、こちらの合同会議にも自治会長が出るということをやって、これでずいぶんコミュニケーションは改善したかなと思います。
自治会イベントには管理組合役員が協力するし、管理組合活動も自治会がフォローするという現象はとても実務的に効果があったと思います。約10億円かけて排水管工事もやりましたが、これも結構たいへんで、各家庭も3、4日排水制限があったりしました。このとき、住民説明会をやりましたが、理事会や修繕委員に対して住民の質問者が糾弾的なのですよね。
責める口調なんです。理事の順番が変われば逆の立場なのだから、それはおかしいだろという話を結構して、そのカルチャーは少しは治ったのかなと思っています。
修繕委員会自体、当時は尊敬されていなかったところがあって、そんなの管理会社にやらせろ的な発想があってですね、「それは住民がやるべきことなのだから、修繕委員会を尊敬すべきだ」というキャンペーンをはりました。
今でもボランティアで活動されている委員の方たちには大尊敬をしています。修繕委員会の地位向上をしました。

その他の取り組みでは、住民表彰制度を作りました。
これはみなさん良い制度だと思うので、是非みなさんにもご活用いただければと思います。簡単に言うと総会の頭でマンションに貢献した人を表彰するという制度です。表彰状と記念品(数千円)で済むのでコストパフォーマンスもよいし、修繕委員長、管理会社の所長、そのほか、みどりのおばさんを30年やっている人がいて、この人を総会に呼んで拍手してあげて、おばさん感激して泣いちゃってしょうがなかったんですけど、こういう褒める制度はコスパもいいし、他のマンションでもやればいいのかなと思います。

住民それぞれ事情があります。現役世代なら仕事、高齢者なら健康、介護、若い世帯は子育て、住民いろいろな事情があります。
私の意見は、少しでも地域にかかわること、軽くてもよいからみんなができる範囲でかかわっていたほうが、そのコミュニティーは良くなると思っています。「なんと言ってもコミュニケーションに尽きる!!」。それが結論です。
普通の人はたいがい理事長も理事、専門委員もやりたくないですよね。ただ逆説的に組合の活動が好きな人がいます。これが結構やっかいで、能力があって視野が広くコミュニケ―ションが上手い方だと良いのですが、中には組合活動が好きで、そのような資質が無い人がいるのも事実です。
理想としては、健康的な理事長選挙が実施できれば良いと思います、ある程度人望がないと人はついてきませんし、それなりの企業含めた組織の管理職経験者が適していると思います。
理事長経験の感想をいうと、失ったものは当時の時間ですね。2年間、土日は平日より忙しかったような記憶があります。
得たものは仕事とか趣味以外で、良き知り合い・友人が増えたことというところです。あと、当然ですけれども、自分が住んでいる住居の理解が進んだということです。
(大規模修繕工事新聞97号)

パークシティ溝の口


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