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民泊新法にどう対応するか

民泊新法にどう対応するか
NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2017年12月5日付第423号・2018年1月5日付第424号「論談」より


民泊新法が成立した。今年6月15日が決定し、その3カ月前の3月15日には事業者の登録が開始される。マンションを含め、違法民泊が横行する中で、新法の施行には問題が山積みされている。
国交省は民泊新法の施行に対応するためとして、マンション管理組合に対し、規約の改正、整備が必要だということで、規約案を発表し、説明会なども開催している。
これはマンション管理の適正化を図ることを担当している行政当局としては、本末転倒である。
そもそもこれまで、相当数のマンションで、違法な民泊によって騒音やゴミの放置などで多くの被害が発生し、社会問題となっていることは周知のことであろう。
大方の管理組合規約には住居専用の規定があり、その規定によって短時間のおけいこ教室や学習塾も申請を受け、許可したり、禁止したりしているところが多い。
民泊というものが、それらに比べるとはるかに長時間、周辺の住居に影響を与える行為であることは言うまでもない。
それを「民泊は、通常の住居としての使用範囲」という勝手な解釈を取り決め、「規約が今のままなら民泊できる」として、管理組合に改正を求めているのが今の実態である。
つまり規制緩和を口実にした一部の金儲けのために、もともと何の規制もなく自立的に管理組合で決められるべき規約を、こうすべきだという形で新たな規制を管理組合に迫っていることにほかならない。
規制強化ではないか。
ただ、われわれとしては本来それぞれの現行規約で許可、不許可の対応をすればいいのであるが、そのままにしておくことでいっそう被害をうけることだけは避けなければならない。
当面の管理組合としての対応については、次のように考える。


①理事会で「住居専用の規約は、民泊の禁止を含む」という規約解釈を決めておく。総会で行えばもっといいが、理事会で十分である。
 ②ほとんどの管理組合で民泊反対の組合員が圧倒的に多いであろうから、条件のあるところでは、「住居専用」の部分に「いわゆる民泊は認めない」旨の文言を加える。この場合、国交省の条文例では抜け道があり、適切でない。
③なお、居住者がいて行われるいわゆるホームステイは「民泊」に入らないと思われる。



民泊新法、なお多くの問題点

民泊新法について、民泊はマンション住民の生活環境を悪化させるものであり、「居住専用」の規約があれば民泊は許されないこと、その上で念押しのため理事会で「居住専用の規約のもとでは民泊は許可しない」との解釈を決議しておくこと、さらに心配であれば、規約に「いわゆる民泊は禁止」の条文を追加すること、などを前ページで述べた。
それに続いて、民泊新法をめぐるその他の問題について述べたい。
第一は、そもそも民泊必要論の前提である海外観光客の増加に伴う宿泊施設の不足は本当に事実かという問題である。
この間、日本中小ホテル旅館協同組合は「ホテル不足はない」との趣旨の見解を表明、民泊新法には否定的態度をとってキャンペーンを行っている。
また、仮に施設不足が事実だとしても、何も住民生活に迷惑をかけるマンションや一般民家の「活用」ではなく、関係の中小ホテルや旅館の施設拡大への支援策こそ、行政当局として行うべき施策ではないだろうか。
第二は、常識に外れた解釈を、国交省など関係当局がマンション管理組合に押し付けようとしていることである。
居住専用の規定があれば、その住戸はその住まいは営業行為に使用できないのが当然である。
多くのマンションでは短時間のお稽古ごとの教室や塾などの使用にも許可申請をして許否を決めている。
それを居住者が不在のまま宿舎として用いる営業としての民泊が「居住専用」に当てはまらないのは常識である。
政府が「住居としての使用の範囲」などと勝手に決める権限などまったくありえない。
第三は、規約の改正を急かせる理由のひとつとして、「いったんマンションないで1戸でも民泊の届出が実行されたら、以後はその当事者の承諾を得なければ禁止できない」かのような宣伝をしていることである。
許可を得て営業をしていた商店の事後禁止ならともかく、無許可のまま当局に実施の申請をしただけで、当事者に拒否権が生ずることはない。
そのことは、ペット飼育を禁止する既定の新設は当該飼育者にたいする特別の影響に当たらないとした判決例(東京高裁1994年8月4日)に照らしても明らかである。
(NPO日住協論説委員会)

(大規模修繕工事新聞98号)


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