「大規模修繕工事新聞」創刊から現在に至るまで、全ての記事をアーカイブ収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を上の<記事検索>にキーワードを入れるだけで表示させて、必要な記事を読むことができます。

マンションの2040年問題

マンションの2040年問題

NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2019年4月5日付第439論談」より


 2018年6月、総務省の有識者研究会が中間報告 した2040年問題。今から 20年後の2040年にピーク に達する人口減社会と高 齢化問題を問いかけ、大 きな問題になった。
 先日、厚木市の会員マ ンション管理組合の集会所で、3カ月に一度開かれる日 住協会員管理組合と近隣マンション管理組合の勉強会で、 この問題を取り上げた。
 問題を直感的に理解するには「自分の年齢に20歳を足 してみて、その年、自分はどうなって、住む団地・マン ション、地域の環境はどうなるかを想像してみてくださ い」と問いかけた。
 「(その時は)98歳になる。健康ならいいが、この世にいないかな。団地も70歳と超高経年になる。大規模修繕を繰り返すための積立金は順調に集まるだろうか」と表 情を曇らせる参加者もいた。
 戦後世代のもっとも大きな人口の塊といわれる団塊の世代が2025年には全員75歳になり、2040年には高齢者の 数が4,000万人になる。
 そのころ、日本の人口は1億人を切るという予測だから、 高齢化社会そのものとされる。
 2019年、50周年を迎える日住協も、昨年から今年にかけて築50年を迎えた会員の団地が5管理組合を数える。 建物もそうだが、住民の高齢化で、80歳を超える住民は 確実に増え、管理組合運営の参加は減る。
 高齢者は確実に増えたが、栄養と医療の向上で、元気 な高齢者は増えていることも確かだ。100歳を超える住民 は珍しくない。
 それでも、80歳を超える住民に管理運営の中軸バッター として活躍してもらうのは酷だ。しかし、得意な分野で は生き生きとして活躍する高齢住民は確実に存在する。
 気になるのは、特に団地で息子世代が団地に見向きも せず、新築マンションをさっと購入して、団地におさらばするケースが一般化したことだ。「この傾向はこれから も変わらないのでは」と断言するのは多摩ニュータウン の不動産会社社長。
 親の世代にあり得なかった低金利時代で買いやすく なったことと、旧世代の団地・マンションに比べてサッシ、 窓ガラスなどの性能の向上、床暖房など設備の向上も親 離れを加速している。
 2040年問題を考える上で注意したいのは、人口減少だ けでなく、マンションでいえば、増大する空き家問題、 管理運営の在り方の変化、増える認知症患者など多くの 問題が迫ってくることだ。
 しかし、2040年問題が今すぐやってくると早合点して、 慌てることは避けたい。対応は徐々に腰を据えて取り組 みたいものだ。
(NPO日住協論説委員会)

(大規模修繕工事新聞114号)