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マンション設備の改修 <解説と事例> マンション設備のこぼれ話

管理会社の提案で全く効果のない工事の実施も!?
 全国建物調査診断センターに寄せられた相談で、「?(はて な)」のつく事例を紹介します。ただし、管理組合のみなさん が気づかないだけで、実はよくある例なのです。
 相談があったのは2019年3月、神奈川県のAマンション (1981年竣工・154戸12階建て)。相談内容は、共用給水管で漏 水が発生したため、管理会社から給水管劣化診断の提案があっ たことにはじまります。  管理組合では管理会社の提案と同じ内容で、全建センターか らも見積もりを出して金額比較をしたいということでした。  この前提として、Aマンションの給水設備の修繕履歴は下記 のとおり(管理会社が元請けで施工)。
 2004年  共用部分・専有部分更生工事、各戸メーター回り 給水管更新工事、廊下の天井にある共用給水管更 新工事
 2011年  直結増圧化工事、各戸メーター回り給水管更新工 事
 この修繕履歴の上で、共用給水管の漏水における管理会社の 調査提案が各戸メーター回りの抜管調査、内視鏡調査というの です。
 これだけの給水設備の修繕履歴で、管理会社の提案が本当に 問題を解決するのでしょうか?各戸メーター回り給水管はこん なに頻繁に更新をしなければいけないのでしょうか?
 全建センターで有償調査を実施したところ、実際の漏水個所は共用廊下の天井に設置されている共用給水横引き管にありま した。原因は2004年施工時の異種金属接合でした。
 管理会社は会社の営業利益率を上げるため、短期で工事を発 現させることを目的にします。その管理会社の提案する内容を 管理組合が信じすぎてはいけません。
 単に見積もりを比較して、安くできたと喜んでいる管理組合 がありますが、実際は全く別個所の工事提案を受け、全く効果 のない工事を実施しているケースが少なくないのです。
 管理会社の提案を鵜呑みにするのではなく、実際の内容や効 果の比較検討をするべきです。そのためには、適切なアドバイ スを受けるための情報収集等が必要といえるでしょう。

<文/全国建物調査診断センター・ 給排水設備担当:淵上>

(大規模修繕工事新聞 115号)

管理会社からは給水管調査個所は、 各戸メーター回りの抜管調査、内視鏡調査の提案があった

実際の漏水個所(全建センターで有償調査を実施)。共用廊下の天井に設置されている共用給水横引き管で、原因は2004年施工時の異種金属接合にあった