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マンション設備の改修 <解説と事例> マンション設備のこぼれ話

「水槽内で泳がないこと」とは…?
 先日ニュースになっていた話です。
 集合住宅に設置されている受水槽の定期清掃において、定期清掃業者の作業員が、こともあろうかその受水槽内で、裸に近い状態で泳ぎ、さらにその状況を動画で撮影して動画サイトに公開した、という事件が発生しました。
 その作業員は「水がもったいないと思った」「水を抜いてきちんと清掃消毒した」と発言したそうです。
 理屈がまるで通っていません。水がもったいないと思うのは勝手ですが、それは誰の水ですか?あなたが勝手自由に使っていい水ですか?と言いたくなります。
 筆者は水槽の清掃消毒作業に数多く立ち会っていましたが、 このような発想をする作業員を見たことがありせん。
 作業マニュアルに「水槽内で泳がないこと」と記載しなければならない状況を情けなく思います。こいう維持管理のもとで過ごしている住民の方が気の毒でなりません。
 受水槽方式にはメリットがたくさんあるのですが、人間が信用できなくなると、直結増圧方式を進めた方がいいのか…と後ろ向きに思ってしまいます。

信用ないと排水管更新は成り立たない
 排水管更新工事は「居住者を拷問するような工事」と思って います。  拷問といえる内容は、専有部分内が施工現場になってしまう、 室内を引っ越し並に片づけないといけない、内装が解体される、
昼間は水が使えない、工事日数が1週間程度連続でかかる、工事日は指定される、入室日には在宅しなければならない、在宅 中は騒音振動が常に発生する、室内に作業員が出入りするので プライベートも何もない…。  さらに相当な工事費用が発生する。このような工事を実施し よう、と決断した管理組合に施工会社は敬意を持って工事に対 処しなければなりません。
 しかし施工会社によっては、このような住民の苦労を理解せず、単なる施工現場だと思って作業に取りかかる作業員がいま す。
 室内に切断工具、廃材を置きっぱなしにする、室内で大声で怒鳴る、汚れた服装でそのまま入室する、養生せずに作業する、 等々。
 もっとひどいのは、室内から作業員が出ていって5時間以上も戻ってこない、今日の作業は終わったとの声掛けも無くいつ まで待てばいいのか連絡もない、汚れたままで何も対処しよう としない、声掛けもなく勝手に洋室やトイレに入ってきて着替 えを見られショックを受けた…。
 受水槽でも触れましたが、人間が信用できなくなると、排水管更新工事が成り立ちません。マンションの改修工事は、専門 会社で常にこのようなことやっていけないという教育を施して いる会社に頼むべきと思います。
 このような意識は一朝一夕には身につきません。変な動画を撮影して、動画サイトに上げるような人が出てこないのを祈る ばかりです。

<文/全国建物調査診断センター・ 給排水設備担当:淵上>

(大規模修繕工事新聞 116号)