管理不全マンションへの支援にも全力
NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2019年7月5日付第442号「論談」より
厚木市の小田急線本厚 木駅から徒歩10分のAマンション(60戸)。築53戸。 昨年1月、孤独死があった。現役の管理組合理事 で、住民に衝撃を与えた。
高齢化が著しく、管理組合の役員のなり手不足が常態で、今年も6人の役員を選ぶのがやっとだった。
15年前、Aマンションの役員たちが、大規模修繕のやり方がわからない、と当時、近くの団地に住む日住協理 事でもある女性理事長に相談する機会を得た。そこで大規模修繕のやり方、理事会運営のイロハを女性理事長のもとに学びに通った。
その役員たちを中心にマンション運営の立て直しが動き出した。設計コンサルタントも日住協の技術協力者を紹介し、大規模修繕、階段室改修、北側窓ガラスの交換、 玄関ドアの交換などを成功させた。
しかし、それもつかの間、この15年の間、高齢化に加え、住民の3分の1がマンションから離れて外部居住者になった。そうなるとますます理事会の役員のなり手が減り、70歳後半~80歳代の役員が並ぶようになった。「も う限界」と元理事長。
「このままでは管理不全マンションになる」とみた日住協神奈川県支部がこの6月から支援に乗り出すことを決め、先日支部の理事4人がAマンション役員らと会合を持った。
役員のなり手がいない問題をどうするか、3時間近く論議。数年前に亡くなった区分所有者の遺族が相続放棄したままになっている住戸の解決に乗り出すこととした。
また定数6の役員を減らして対応できるかどうか、マンション内の敷地の整備、花壇づくりなど、マンション内の活性化策も検討した。
部屋は狭いが、駅からは徒歩圏、マンションの建築はダム工事が本業のゼネコン施工の強固な造りで100年持つ、周辺には医療施設も整っている―というプラス面を強調すれば買い手が現れるのではないかなどという前向きの論議をした。
もともと自主管理で、この路線は厳守。自ら考え、工夫する自立管理の道を歩めば立ち直れる―というのが支部理事の一致した意見だった。
高齢化が進むマンションが増える中、こうしたマンションをどう甦らせるか。50周年を迎える日住協が管理不全マンションを支える見本としたい。 (NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞117号)