Point
① 放置自転車の移動等は管理組合理事長の権限で行うことができる
② 予防として管理組合シール等による自転車の管理を行う必要がある
③ 警察に遺失物としての届出をするほうがよい
④ 管理組合自らが処分を行う場合、3カ月は保管を継続すべき
自転車は、自動車と異なり一般の動産と同様の扱いとなります。ただし、その撤去・処分は法的手続きを踏まなければならないことは自動車と同じです。なお、バイクは自動車と同様に取り扱うべきです。
前提として、駐輪場にある自転車の管理を管理組合としてきちんとされていますか。シールの義務付けや駐輪場使用料の管理等、駐輪場使用細則を定めることが必要です。こうした管理をしていれば放置自転車であるかどうかが一目瞭然となります。
次に区分所有法上の管理者(管理規約で理事長とされているケースが多い)は、規約・使用細則に違反する行為に対して警告を発し、必要な処分をすることができます。
ただし、法的手続きを経ずに勝手に廃棄したり、撤去することは、「自力救済」といい、原則としてできません。
とはいえ、いちいち法的手続きをとらなければ移動すらできないのは現実的ではありません。
駐輪が認められていない自転車を定期的にチェックして、警告文を貼って、その状況をカメラ等に記録します。
その上で最寄りの警察に相談し、防犯登録等を確認。所要の手続きを経て、3カ月経過しても持ち主が現れない場合、遺失物として取得者のものになることになります。
この手続きは、住民や来訪者にもわかるようにマンション掲示板等に掲示するなどして明らかにしてください。
使用細則に以上の放置自転車の処分についての規定を定めておけば、少なくとも区分所有者、居住者はその手続きを承諾していたこととなります。
「自力救済」に基づく責任を負わないよう、思わぬトラブルに巻き込まれないよう、慎重な配慮で処分の検討を行ってください。
<参考引用>『マンション管理組合のトラブル相談Q&A』
著者/中村宏弁護士・濱田卓弁護士 発行/民事法研究会
(大規模修繕工事新聞 122号)