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マンション設備の改修 <事例と解説> マンション設備のこぼれ話

全建センターのオンラインセミナー 集団感染は過去事例で学ぶことが備えに

 今回の、新型コロナウイルス世界的流行あたって、いろいろと考え直さないといけないと思われた方は非常に多いのではないでしょうか。当方の事情からみますと、感染の不安よりも経済活動自粛が一番不安を感じました。
 今思うことは、「ウイルスが流行したらこうする、こういう対策をとる」という考え方だけではだめで、「日常よりウイルスを除去する対策を実行し、ウイルスが流行したらこうする、こういう対策をとる」という2段構え3段構えで考えなければ、短期で収束させることができない、とつくづく思いました。また、自分だけしっかりしていれば良い、という考え方は全く通用しない、という出来事でもありました。
 2003年のコロナウイルスによるSARS流行の時は、日本は感染者0、死亡者0でした。対岸の火事的意識で、あまり対策を講じていなかったことで、今回の流行時には混乱が生じ、どういう行動をとればよいかわからず、右往左往した感があります。
 インフルエンザと同じ扱いを行い、間違った方針を出してしまった感も少なからずあります。社会保障についても、ゴールデンウイークが明けてもマスクは届かず、10万円一律支給も実施されませんでした。成熟した社会は急には行動できないものなのかもしれません。
 そこで「マンションではどうだろうか」と考えた時、ひとつのウイルス事故を全建センターのオンラインセミナーで取り上げることにしました(閲覧は16p参照)。それが、2003年に香港アモイガーデンズという、19棟4,896戸 10,700人が居住する大規模マンションでSARS集団感染が発生した事例であります。
 その概要は横浜市のホームページに記載されています。
  //www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/shikkan/sa/sarsamoy1.html
 最終更新日は2019年7月11日になっておりますので、新型コロナウイルス流行前に紹介されていたことがわかります。ぜひ一読して頂ければと思います。
 アモイガーデンズの集団感染の大きな特徴は、以下の通りです。
・E棟の1人の居住者が、通院している病院で3月末に感染した
・E棟で4月初旬に107人が感染した
・E棟の感染者は最初の感染者居住号室の上下階に分布していた
・感染者には脱水症状が見られた
・42人死亡した
 そして調査の結果、E棟集団感染の感染経路は「同じ号室の上下階につながっている下水管を経由して感染した」と結論づけられました。
 記事に記載されている内容は、日本で給排水設備工事に従事している人間が読むと「そんなことあり得るのか?」「記述内容はおかしいのではないか?」「日本では起こらないのではないか?」という
意見が多数を占めるような気がします。
 しかし感染した事実は存在します。この事実を合理的に誰も完璧に解説できないと思います。となると、「真摯に事実を認め対策を講じることも今後必要ではないか」「対岸の火事と片付けられないのがウイルスだ」と認識することが重要ではないかと思います。
 「STAY HOME」が今回のキーワードになっていますが、アモイガーデンは10,700人が隔離されました。「STAY HOME」すら奪われる事態に発展したことを、過去の事例で学んでおくことが、いざという時の備えになるのではないか?と考えます。

大規模修繕工事新聞(125号)