「大規模修繕工事新聞」は、一般社団法人 全国建物調査診断センターが発行するマンションの適正な管理に役立つ管理組合向けのフリーペーパーです。首都圏、関西圏の約30,000の管理組合に直接、無料で発送しています。また、同じ内容のメルマガ版は登録いただいた方に無料配信しています。当HPでは、「大規模修繕工事新聞」の過去から現在に至るまで、全ての記事を収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を左下の検索窓からキーワードを入れるだけで必要な情報を得ることができます。

弁護士によるトラブル相談シリーズ/管理費等の滞納者の氏名等を公表できるか

Point

① 氏名の公表は不可欠ではなく、プライバシー侵害にあたるリスクもあることからさけるべき
②議案書、議事録への記載も避けるべき

 管理費等の滞納者に対し、制裁として氏名を公表したい。また、管理組合に対して何度も訴訟を提起してくるクレーマーもいて、訴状をそのまま総会資料として配布したいという管理組合があります。
 注意すべき点はどこにあるでしょうか。
 管理費等の滞納者は経済状態が芳しくなく、他人に知られたくないことであるといえます。「他人に知られ(たく)ない」という利益は、プライバシーの1つの内容として法的保保護に値し、これを違法に侵害した場合は、不法行為(民法709条)が成立し、侵害する者は滞納者に対して損害賠償義務を負うと考えられます。
 管理費等の滞納への対処は、訴訟や強制執行等の法的手続きによるべきです。村八分的な側面を有する氏名の公表は、たとえ、その根拠となるべき規約の規定や集会の決議がある場合であっても、違法であっても許されないと考えます。
 総会または理事会の議案書や議事録への記載についても氏名そのものを記載する必要がありません。裁判所との関係でも「○○号室区分所有者」と記載すれば足ります。
 よって、議案書や議事録には「○○号室区分所有者」と記載することをお勧めします。

(大規模修繕工事新聞 第128号)

〈参考引用〉
『マンション管理組合のトラブル相談Q&A』
著者/中村宏弁護士・濱田卓弁護士
発行/民事法研究会
A5判・301ページ
定価/ 3,100円(税別))
2019年2月発行
ISBN:978-4-8655-6271-2