高齢化社会を迎え、マンション内でも高齢居住者が増え、配布資料などが理解できない、理事会の仕事ができないなど組合運営に対する支障のほか、日常生活でも近隣の人の顔を忘れてしまう、ゴミが捨てられない、買い物などの外出ができなくなるなど、軽度認知障害(MCI)対策が重要となってきています。管理組合としてはどのような対策を講じていけばいいのでしょうか。
一般に成年後見制度がありますが、実際にマンションでは有効な活用方法とはいえません。すでに本人の判断能力が低下している場合、家庭裁判所が「後見人」を選任することになりますが、管理組合は裁判所に対する請求権者に含まれていないのです。親族がいれば、やはり親族に対応してもらうのが一番です。
本人が単身高齢者であれば、なおのこと親族へのアプローチが必要となります。
さて、みなさんの管理組合では緊急連絡先等を備えた組合員名簿、居住者名簿をきちんと作成しているでしょうか?
名簿の内容として、特に要援護者の把握、親族の連絡先は必須です。組合員の生活行動に異変を感じたときに連絡ができる体制が優先されるといえます。
組合員が亡くなれば、管理組合としては管理費等の滞納、空き家化を一番に避けたいところです。親族がすぐにわかれば、素早い対応も可能となるでしょう。
まずは名簿の整備です。プライバシー侵害を理由に名簿の作成に協力しない組合員や居住者に対しては、「名簿作成細則」等を作って対抗することをお勧めします。
マンション管理計画認定制度でも、両名簿の整理と1年1回以上の内容確認が認定基準となっています。高齢化による組合員の認知症対策において、管理組合が取るべき対応の第一歩は名簿の整備といえるでしょう。
大規模修繕工事新聞167号(23-12)