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断熱改修工事事例紹介

断熱改修工事事例紹介
築42年、全戸一斉サッシ改修
スリーブ新設で北側窓も複層ガラスに
 築後40年を過ぎ、3回目の大規模修繕工事を行う際に、理事会、修繕委員会で住民アンケート事前調査をしたところ、サッシ改修の要望が多いことに気づきます。主な不具合は、レール・戸車の摩耗による引き違い戸の開閉不良、がたつき、クレセント錠の不具合やゴムパッキンの劣化による密閉不良、すきま風やほこりの侵入、白錆や変色、雨水の浸入など。
 このため、資金面から、大規模修繕工事を2年後回しとして、全戸一斉サッシ改修を優先させることにしました。
 工法は、既存の窓枠の上に新しい枠を被せるカバー工法を採用。窓ガラスは特殊金属膜をコーティングしたLow-Eペアガラス(高断熱複層ガラス)を採用しました。

全室の窓サッシ交換を行いましたが、問題となったのが北側の部屋の窓です。昨今の真夏の暑さで全室にエアコンを入れる住戸が増えています。
 これまで管理組合では、エアコンスリーブを新設することは認めず、サッシ窓からエアコン冷媒管を引き込む必要がある住戸は、アルミサッシの端部にパネルを付けて、その上にはめ殺し窓を設けて、そこから配管ができるようにサッシを加工していました。
 新たにエアコンスリーブを設けるとなると、コンクリート内の鉄筋を切断することのないように適切な対策が必要になります。万が一、鉄筋を切断してしまうと建築基準法の構造強度を下回ることになり、構造計算をし直さなければなりません。各戸任せは非常に危険だという判断がありました。
 今回のサッシ改修では全戸一斉のため、管理組合の責任で電磁波レーダー法により鉄筋の位置を特定し、鉄筋間の隙間を狙ってコア抜き作業を行いました。
 改修前には工事に反対する意見もありましたが、改修したことにより、中古の販売価格も上がり、資産価値が向上したという声も聞こえてくるそうです。


大規模修繕工事新聞 180号2024-12

玄関ドア・サッシ改修相談室室長
全建センター理事:
箕輪 貴弘