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第三者管理による管理者は本当に必要か

◆ 管理組合運営を第三者に委ねてよいか

 「マンション管理業者による外部管理者方式(管理業者管理者方式)の適正な運営を担保することなどを目的として、『マンションにおける外部管理方式等に関するガイドライン』を策定しました」と国交省は延べ、その後、パブリックコメントを集めた。
 区分所有者以外の第三者が管理者になる外部管理者方式は、「役員のなり手不足」などを理由としているが、
NPO日住協の管理組合からの相談や訪問からは、理事さんたちが自立し、頑張っている管理組合の姿がある。

◆欠席理事から協力金をとりたい!

 管理組合の相談で印象的だったのは、「輪番で理事を決めているが出席しない」「協力金を撮りたいがいくらが妥当か」という築40年の管理組合の理事長さんからの相談。
 実際にお会いし、アンケートと広報の実施について質問したが「アンケートは今まで行ったことがない」という。
いろいろなやりとりの結果、アンケートを実施することにした。
 前文に、理事が欠席することが状態化し、管理組合の
運営に支援をきたしていることなどを示した。1カ月ほど経ち、集計結果ができた。

◆管理組合が驚いたアンケート結果

 回収率は80%を超え、「輪番がきたら理事に就きますか」との質問に、50%以上が「はい」と答え、「管理組合の運営に協力すべき」との回答も多数あった。
 前文で管理組合の実情を訴えたことが反映した。管理組合からの広報もなかったのだ。「協力金を推し進めていたらこのようにはならなかった」「問題の本質を探ることが必要なことをあらためて理解した」と理事長さん。管理組合は、管理者を第三者に委ねる前にやるべきことを考えてみたい。他の管理組合の運営や活動事例を学ぶことも必要である。

◆第三者管理者の資質

 一方、第三者管理を行おうとしている企業や専門家は、管理組合の利益の最大化こそが使命であること、単なる商売としてではなく、社会的インフラとしてのマンションを管理するという、あふれる責任感と使命感が欠かせないことを理解すべきである。
 A社の管理規約をみると管理組合(区分所有者)にとって不都合なしばりがある。都合のいいことばを喧伝するのではなく、真に民主的で透明性と公平性を兼ね備え、その評価などが年に一度の総会だけだとすると、管理者優位、区分所有者不利になるだけである。 (NPO日住協論説委員会)

 


大規模修繕工事新聞184号(25-4)