一般社団法人全国建物調査診断センターが4月26日に配信開始した第80回管理組合オンライン・セミナーを抜粋・採録します。今回は、『管理組合を取り巻く関係業者とのこれからの付き合い方』をテーマに、一般社団法人マンション管理士総合研究所・代表理事の水島氏(マンション管理士)の講演の様子を紹介します。
1.チャンピオン制度
まず、実際に管理組合の運営をする中で、みなさんは管理会社への管理委託内容や管理委託費の内訳は知っていますか?
そして、その委託内容や委託費の通りに管理会社が履行しているかチェックしていますか?
皆様ご存じと思いますが、昨年3月4日に談合問題が発生しました。この大規模修繕工事を取り巻く構造というのが、やはり管理組合が騙されてしまう主要な原因となっています。
では、なぜ騙されてしまうのか。そこのところをこれから深掘りしてご説明をしていきます。
大規模修繕工事は構造自体が複雑な構造になっています。さらに一般の管理組合の皆様とマンション業界人との間では、圧倒的に情報量と知識レベルが違います。
談合問題では、設計監理方式と管理会社方式、この2つで実際に談合が発覚しました。では、なぜ、このような発注方式で談合が行われたのか。
3・4談合問題報道前は、設計監理方式が一番、クリアというか、透明性があって良い方式だと推奨されていました。基本的に、施工会社と設計監理者を分けるということで、業者選定に関しても、その方が良いというところで採用されてきましたが、3・4談合問題報道を深掘りしていくと、この方式が談合の温床だったことがわかってきました。
では、設計監理方式というのは誰が行うのか。基本的には一級建築士事務所、管理会社の設計部門が行っています。
施工会社と設計者を別々にする、離すことが癒着や談合が置きにくいとして浸透してきたと言われています。
ただ、設計監理を行う一級建築士事務所も管理会社も多くの取引先の施工会社が存在します。そして、設計事務所が設計をすることなく、施工会社が工事を取り仕切ることがあるのです。
これを業界では「チャンピオン制度」と言っていまして、あたかも設計事務所が設計をしていると見せかけて、実際には指定の施工会社が行って、見かけ上の入札をして、落札をするという仕組みです。
そして、設計事務所は落札をした施工会社からフィーを受け取っていることも判明しています。
設計事務所の都合で特定の会社に誘導して落としていく「チャンピオン制度」。管理組合が騙されていたものです。
2.施工会社持込制度
実際に工事をする施工会社が設計事務所に仕事を持ち込むケースがあります。
あたかも設計事務所が仕事をしていると見せながら、裏では持ち込んだ施工会社が仕事を取る方式です。
決定的に金額が高くつくことにつながっていくとともに、競争関係が全く働かないようなですね状況に陥っています。
一級建築士といった肩書きだけで判断してしまうと、実際にこれも横行しているケースです。非常に危険である設計監理方式の大きなポイントだと思います。
3.管理会社による責任施工方式(管理会社方式)
まず、管理会社にそもそも設計業務をできる方がいるのかという問題があります。
私も実際に管理会社に属しておりましたが、管理会社というのは、例えばフロント業務や会計業務を行うところがメインの部門です。
ですので、工事部門は営繕工事、例えば、日常的に発生するような工事の見積もりチェックや業者の手配等を行うのがメインです。
明らかに大規模修繕工事に慣れている社員は圧倒的に少ない。少ないのに物件数はある。ではどうやってさばいていこうかとなると、設計事務所と同様、施工会社の力を借りるしかないのです。
現在のマンション大規模修繕工事は70%がこの方式で行われているという統計がでています。フロント担当がふつうに管理組合をサポートしていれば、黙っていても仕事が来るということになります。
管理会社も多くの施工会社との取引がありますので、これも順番に工事の段取りをしていくというのが一般的に行われているのです。
管理組合が選ぶのではなくて、管理会社の都合で、例えば今回の現場はA施工会社にしましょう、今度の現場は前回お手伝いをしてもらった
B施工会社にしましょうという図式が成り立つようになります。
ここで一番の問題は、管理会社が長期修繕計画を作っていて、管理組合の懐事情、お財布の中身を知っているということです。
「管理会社に任せておけば管理組合としては安心だ」という考え方につけ込む、それが管理会社方式です。
4.全責任コミット制度
管理会社方式の中でも、全責任コミット制度というものがあります。
例えば、大きな工事を行う場合、何かあったときの責任は「そのときの役員さんが負ってしまいますよ」というように、危機感をあおります。「でも、管理会社にお任せいただければ、フロントマン、管理員がすべてフォローします よ」と、管理会社がコミットをした形で仕事を取りに来るケースをこう呼んでいます。
5.防御策・解決策とは
1つ目は、やはり第三者の導入による支援です。
理事会、役員にバイアスがかかっていると、正常な判断が効かなくなります。また走り出してしまうと止められなくなってしまうというケースがありますので、そこに待ったをかける第三者の存在が必ず必要になってくると思います。
2つ目は、プロセスの見える化です。
前述のどの方式でも、どういった手順でやっているかをオープンにすることです。
そして、見積もりにエントリーする会社に対して、「談合しません」という念書を取るといった管理組合も出てきています。
ただ、そうした念書を取るなど、普通の役員ではできない場合は、やはり第三者の力を借りる必要があると思います。
3つ目は、全建センターで力を入れているAIを使った支援です。
この全建センターのAI活用としては、一般社団法人マンション管理士総合研究所、略称マンション総研と呼ばせていただきますけど、AI活用と管理実務に熟知した私を含めたマンション管理士が管理組合のサポートをさせていただきます。
業務スタートは5月1日となります。お問い合わせは5月1日以降にいただけたらと思います。ご相談をお待ちしております。
本日はご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。
一般社団法人マンション管理士総合研究所(略称:マンション総研)
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大規模修繕工事新聞 2026-05月 197号





