マンションAI』に相談してみよう!
現在、全建センターの『マンションAI』は数多くのマンションの理事、あるいは組合員からご質問が寄せられ、それに対してマンションAIが回答している、という実例があります。
このコーナーでは、実際にこの数カ月の間に管理組合の皆さんが『マンションAI』を活用されている実例を紹介します。
【監修】全建センター筆頭理事・佐藤成幸
Q
大規模修繕工事が始まり足場作業にはいったところ「うちのバルコニーは工事しなくてもいい!」と現場事務所にクレームを言ってきた組合員がいて、作業がストップしてしまいました。バルコニーには物が置きっぱなしで、「自分の家に物をおいて何が悪い」といっています。
工事に非協力的な組合員へは、どのように対応すればよいでしょうか?
A
バルコニーは居住者が専用に使える「専用使用権」が認められているものの、法的には「共用部分」です。そのため、管理組合が決議した修繕工事を拒否したり、私物を放置して工事を妨害したりすることは認められません。
1. 説得のための3つの法的・規約上の根拠
まずは、管理組合側に正当性があることを以下の3点から明確にします。
① バルコニーは「共用部分」である
バルコニーは、廊下や階段と同じ「共用部分」です。「自分の家(専有部分)」ではないため、個人の判断で工事を拒否することはできません。
② 居住者には「修繕に協力する義務」がある
区分所有法および管理規約(標準管理規約第23条「必要箇所への立ち入り」等)により、共用部分の維持管理・修繕のために必要な範囲において、管理組合は住戸内やバルコニーへの立ち入りや作業を行う権利があり、組合員はこれを拒めません。
③ 私物の撤去義務
バルコニーの私物(物置、植木鉢、私財など)は、大規模修繕工事の際には居住者の責任と負担で撤去しなければならないのが原則です。放置によって工事が遅延し、延長分の足場費用や人件費などの損害が発生した場合、その組合員個人に損害賠償を請求できる可能性があります。
2. 解決に向けた4つの対応ステップ
現場事務所(施工会社)に直接クレームが行っている状態は避けるべきです。施工会社を守り、管理組合の問題として引き取りましょう。
ステップ1:施工会社から管理組合への窓口一本化
施工会社の現場代理人には、「組合員への直接の交渉や説得はしなくてよい」と伝え、苦情の窓口をすべて管理組合(理事会・修繕委員会)に一本化します。現場で揉めると、職人の安全や工事のクオリティに影響します。
ステップ2:管理会社を交えた「事実関係の確認と傾聴」
まずは、なぜそこまで頑なに拒否するのか、理事会や修繕委員会が同行して話を聴きます。「自分の家に物を置いて何が悪い」の裏に、別の本音が隠れていることがあります。
よくある隠れた理由
・荷物が重すぎて、高齢・体調不良により物理的に一人で片付けられない。
・修繕工事の総会決議や事前の説明会に出ておらず、内容を全く理解していない。
・過去に管理組合や他の住民とトラブルがあり、嫌がらせ(仕返し)の心理が働いている。
ステップ3:妥協案の提示(片付けのサポート)
もし理由が「物理的に片付けられない」「費用がない」ということであれば、管理組合や施工会社として以下のような現実的な救済措置(妥協案)を提案し、拒否する理由を無くしていきます。
・ 「室内に運び入れるのを、施工会社の作業員や理事会のメンバーで手伝う(養生等も行う)」
・ 「工事期間中、敷地内の空きスペースやコンテナ等に一時的に保管することを許可する」
・ 「どうしても動かせない大型物置などがある場合、そこだけ避けて工事をする(ただし、将来そこから漏水した場合は自己責任・自己負担になる旨の念書を交わす)」
ステップ4:書面による法的警告(最終手段)
対話に応じない、または妥協案も拒絶して妨害を続ける場合は、理事会名(または弁護士名)で「勧告書」や「警告書」を内容証明郵便等で送付します。
○今後のアドバイス
こうした「工事拒否」の事例では、多くの場合、ステップ2〜3の「丁寧に話を聴き、片付けを手伝うなどの実質的なサポートを提案する」段階で、相手の態度が軟化して解決に向かいます。
まずは理事会・修繕委員会でタッグを組み、感情的にならず「お困りごとはありますか?」というスタンスでアプローチしてみてください。それでも完全に拒絶される場合は、全体の損害を防ぐためにステップ4の法的措置の準備(弁護士への相談など)を速やかに進めるのが賢明です。
大規模修繕工事新聞 2026-7月 199号





