これについて現場では、実態にそぐわない通達だと混乱の原因となっている。
今回の通達は 、土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含む)のうち、外部から荷物の出し入れを行うことができ、内部に人が立ち入らないものについては、建築基準法上の建築物に該当しないものとし、建築確認等の手続きにつ いても不要であるとした。
一見、建築確認申請を不要とした画期的な通達と思えたが、「小規模な倉庫」の「小規模」とは「奥行が 1m以下かつ高さが2.3 m以下、床面積が2㎡以内」という条件がついた。
つまり、 この「小規模」に該当しなければ、逆に「建築確認が必要 」ということになるのだ。
「2㎡以内」の倉庫とは 、戸建ての庭先のプレハブ物置が一般的。町内会や自治会、管理組合など自主防災組織で使用するものを想定しているとは とても思えない。建築確認を申請するためには、 審査機関に支払う申請手数料、申請のできる登録業者への設計監理料がかかるのだ。
これまで建築確認については、一般的に 10㎡以上の建築物の 新築・増築が該当し、それ以下 の建築や、購入する 倉庫の設置程度はあまり意識されてこなかった。このため、マンション敷地内に は新たな防災倉庫を設置しやすく、自治防災組織を管轄する自治体(地域振興課) などでも、積極的な設 置を補助事業などで呼びかけているところがある。
ところが この国の通達によって、自治体が防災倉庫の設置を後押しする一方、自主防災組織に必要とされる 防災倉庫の大きさのものは確認申請が必要となってしまったのだ 。
これでは地域の自主防災について本気考えている 地方自治体、各地の自治会、管理組合等に混乱を招きかねない 。
自治防災組織の防災倉庫ついては、この通達の適用から外すなどの特例等が必要なの ではないだろうか。(編集部)
(大規模修繕工事新聞 第81号)