国土交通省は3月16日、住宅局市街地建築課長およびマンション政策室長名で、マンション関連団体宛に「社会保険等未加入対策の徹底に関する通知について」(国土建労第1267号・写真はNPO全国マンション管理組合連合会(全管連)宛のもの)を出しました。
この通知は、昨年の臨時国会で成立した「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」が施行されたことを受けたものです。
マンション大規模修繕工事等においても、総合的な社会保険等(雇用、健康、厚生年金保険)に加入していない建設業企業への対応について、関連団体に理解と協力を求めています。
これまで大規模修繕工事などおいて、見積もり金額の中には法定福利費などが明示されていませんでした。これを改めて、法定福利費などの明示を徹底するというのが狙いです。
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国交省によれば、大規模修繕工事を取り巻く業界では現在、「受注競争の激化などにより、本来固定費であるべき法定福利費も変動費化して請負金額の中で十分に確保されない状況にある」としています。
とはいえ、受注競争によって社会保険未加入企業が多く存在することは、①公的保障が確保されないため、若年入職者が減少する②適正に法定福利費を負担している企業が競争上不利になる、などの問題となります。
下請けになればなるほど、従事者の法定福利費が確保されない状況が生み出されているのです。
こうしたことから、国交省では「法定福利費の額を内訳として明示した標準見積書を活用することで、請負金額の中で法定福利費の確保を図る」ことを目的としいてます。
全管連としても、「工事の発注者であるマンション管理組合にとって、工事見積りの透明化、工事見積もりの比較の判断などで前進への一歩となる」と述べています。
(大規模修繕工事新聞 第88号)