熊本地震、東日本大震災による設備被害において、建物が壊れていない場合の建物の中の設備配管類は壊れていませんでした。敷地の外から内にはいるライフライン(給水・排水・ガス・電気)が傷んでいました。建物は基礎で固定されているので、建物自体がしっかりしていればよいのですが、屋外は建物に固定されていないので、損壊が多くみられたようでした。
地震による被害では屋外の排水桝管路が一番問題なのですが、(勾配が十分にとれる)高さがないと耐震性がないんです。フレキシブルな継手が排水設備の材料にはない。それを補修していくことになるが、高さがあると、勾配をとるような対応に変えることができます。
災害が発生した場合、すべての排水を禁止する管理組合があります。この場合、いつになったら使えるようになるのか、排水の安全が確認できたかどうかと管理組合が住民に発信することが大事です。
排水管の使用の可否についての簡易確認には、①排水経路の設備を目視確認する②各戸の排水器具から横引き管、共用立て管、1階床下ピット内排水管、屋上排水桝などに異常がないか目視確認するなどの方法があります。
具体的に建物内の排水管が使用できるかどうかの確認には、色つきのトイレットペーパーをピンポン玉程度に丸め、最上階住戸のトイレから立て系統に流し、屋外排水桝の蓋を開けて流れてくるのを待ち、異常があるかどうかを見る方法があります。トイレットペーパー代わりにピンポン玉に番号をつけて流す方法もあります。(7月12日かながわ労働プラザ、神管ネット主催CPD事業セミナー「災害目線の大規模修繕~マンション設備の災害等での被害と対策~」より)
(大規模修繕工事新聞92号)