一般社団法人日本マンション学会は5月19、20日、北海道大学工学部で北海道大会を開催しました。
今大会のメインシンポジウムは「郊外型高経年団地の再生とストック活用」をテーマに開催。その他「借地権付マンションの法的諸問題」「最近のマンション紛争と裁判」「熊本地震被災マンション復興の課題」「外国のマンション法から考える」な8つの分科会報告を行いました。
●メインシンポジウム
<趣旨説明>
明治学院大学教授 大野 武 氏
高度経済成長期、郊外住宅団地が数多く供給されました。それから数十年を経た今日、多くの団地で住民の高齢化の問題が進み、街としての活力の低下、住宅市街地の規模の維持の困難さといった課題が指摘されています。
また、さまざまな指摘を踏まえて、持続的居住を目指す団地を選択し、コントロールする施策が必要とも考えられています。住宅地としての持続可能性の問題は、住民の高齢化だけでなく、住棟の老朽化、空き住戸の増加などの要因によって、維持管理ができないという形となって顕在化します。
メインシンポジウムでは、少子高齢化や都心回帰という社会構造の変化に対して、郊外の分譲集合住宅団地がいかに再活性化するかを課題にあげました。具体的には、各団地がおかれた状況を踏まえ、団地全体の再開発という観点と、団地内の既存ストックの有効活用という観点から、団地の再活性化のための手法と、その当否について検討を行います。
団地再生事業制度の提案
国土技術政策総合研究所・研究所 長谷川 洋 氏
郊外型の団地では、大規模改修を主体とした団地再生や、多様な再生手法を複合化させた再生について、現在の法制度で円滑に実施することは難しいと考えられます。
そこで多様な再生ニーズに柔軟に対応するための新たな事業制度として「団地再生事業制度」を提案します。
(大規模修繕工事新聞102号)
北海道大学工学部
5月19日、メインシンポジウムの様子