自立管理とは何か
~NPO日住協50周年に向けて~
NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2018年5月5日付第428号「論談」より
◇自らで判断する
NPO日住協はいま50周年に向け、自立管理の推進・充実を課題として打ち出すことにしている。自立管理とは何か、改めて考えてみたい。
一般にマンション管理の方式には委託管理と自主管理とがあるとされている。
管理会社に業務を委託するのが前者で、委託しないのが後者である。
自立管理とは管理の方式ではなく、管理の実態をいう。委託、自主のどちらの管理方式であっても、組合員(理事会)が自立して自ら判断し、方針を決める管理組合であれば、すべて自立管理に該当すると考えられる。
したがって、NPO日住協の会員管理組合は程度の差こそあれ、いずれも自立管理を行っているといえる。
◇自立管理の充実
もともとNPO日住協は、分譲者である日本住宅公団のベランダ落下などの瑕疵を解決する運動の中からできた組織である。管理組合が協力しあって自分たちで問題の解決を進めようとする自立的組織が出発点である。
現在は組合員の高齢化の進展からいっても、委託管理が増えており、その役割を評価していることは当然である。
しかし、全面委託管理といえども、収納や窓口業務、清掃や修繕など業務を委託しているのであって、理事会や総会など運営方針の決定、日常の広報や相談など理事会と組合間のコミュニケーションはなくならない。
これらの充実はどの管理方式の組合でも課題である。
◇議事録をとってみれば
具体的課題をあげてみれば、例えば理事会や総会の議事録(案)を管理会社に作成依頼しているところは相当数にのぼる。案といいながら事実上丸投げの組合もあり、管理会社によっては管理組合の要求があっても直すことに抵抗するような態度をとくところさえある。
最近の国会における官庁文書の改ざんをめぐる論争でもわかるように、公式文書の正確性、厳密性は組織運営の基本である。
議事録作成を他者、特に利害関係の異なる管理会社の人間に委ねるなど本来ありえないことである。
こうした点の改善をはじめ、管理組合が自立管理の充実を目指して、運営をもう一度見直すことを期待したい。
(NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞102号)