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マンション大規模修繕工事を上手に行う方法/ベランダの私物移動・廃棄

工事を進める上での問題点 ―施工者の視点から―

マンション大規模修繕工事を上手に行う方法とは

㈱ヨコソー 専務取締役 齋 藤 秀 人

ベランダの私物移動・廃棄

施工中はベランダの荷物は移動しなければ 作業ができない
施工中はベランダの荷物は移動しなければ
作業ができない

大規模修繕工事の際に実施するベランダ・バルコニーの防水工事で支障となるのが、物置、植栽(プランター)、ウッドデッキ、置き型磁器タイルなどの私物の移動です。
各住戸のベランダ・バルコニーは非常時の避難通路の役割があることや外観上の見栄え、上下階への影響などから共用部分とされています。
ただし、各戸の居住者が専従的に使用せざるを得ない部分であることから、正確には「共用部分の専用使用部分」と解釈されています。
つまり、区分所有者に専用使用権を設定して日常の使用を認めていますが、その管理は共用部分として管理組合が行うことが原則であるため、大規模修繕工事の項目としてベランダ防水等が組み込まれているのです。
ところが、基本は共用部分であるということを理解していない区分所有者によって、大規模修繕工事の進行の妨げになることがあります。

<クレーム事例1>

施工のため、一時移動場所を作ったケース。た だ、仮置きの物品はあくまで自主管理が原則だ
施工のため、一時移動場所を作ったケース。た
だ、仮置きの物品はあくまで自主管理が原則だ

新築購入時にオプションとして、置き型磁器タイルを設置した。オプション販売をしておいて、大規模修繕工事をするから個人で撤去しろというのはおかしいではないか。説明もなかった。
⇒管理組合がクレームを言われる筋合いはありません。その人は新築時に置き型磁器タイルをオプション販売した分譲会社に責任を問うべきです。それも個人と分譲会社との問題です。
管理組合としては、「共用部分の専用使用部分」であることの説明を行うべきでしょう。それでも施工を拒否された場合、区分所有法上の「共同の利益に反する行為」の説明や、将来的に不具合が生じた場合の責任の所在を決めておくことなどを示唆し、工事の進行を妨げないようにする対応が必要です。

<クレーム事例2>

産業廃棄物をまとめるコンテナ。家庭の粗大ご みも受けるケースもあるが、「無料回収」には 注意が必要
産業廃棄物をまとめるコンテナ。家庭の粗大ご
みも受けるケースもあるが、「無料回収」には
注意が必要

大規模修繕工事の前年にルーフバルコニーに人工芝を貼った。工事を行うなら事前に知らせてほしかった。撤去復旧費用は管理組合で持ってほしい。
⇒大規模修繕工事は長期修繕計画に基づいて行うことが一般的です。長期修繕計画は閲覧できる体制であること、各戸に配布してあることを確認していますか?
さらに工事の2,3年前から建物調査・診断を行い、工事計画や資金計画の検討を行います。検討経緯などは常に広報を心がけなければなりません。
こうした対応をとっていれば、クレームをつけた人も管理組合の組合員であることから、反論のしようがなくなります。当然、撤去復旧費用を管理組合が持つ必要はありません。

私物の破棄についても問題があります。近年、大規模修繕工事の際に出る産業廃棄物とともに居住者から出る粗大ごみの回収も同時に行うサービスが好評だそうです。
ただし、工事業者選定の際に「無料で回収します」というリップサービスを信じてしまうケースもあるようですが、おカネがかかる部分を無料サービスとして受けると、必ずどこかでしわ寄せが来ます。
適正な工事を行いたいのであれば、あまり足元ばかりを見ずに、支出しなければならないものはきちんと支出する理解が必要です。

(大規模修繕工事新聞 2014-8.5 No.56)


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