築70年を視野に入れた3回目の大規模修繕工事
「熟練の職人集団を固定し、同じ職人が3年かけて全棟の工事を進められるよう計画する」―築37、38年目にして行っている今回の工事での大きな特徴のひとつだ。
建物を長寿命化すべく現在、管理組合では築70年以上の長期修繕計画を作成中。大規模修繕工事スパンをこれまでの約12年周期から今後は約16年周期に延長することで、建物の全体的な生涯費用(ライフサイクルコスト)を軽減させる計画である。
ただし「今回の工事が特別な仕様を行っているわけではありません」と現場代理人。
職人が丁寧な仕事をすること。それが施工品質を上げ、建物の寿命が長持ちし、修繕スパンを長くするというのだ。工事期間に余裕を持ち、職人の施工品質にこだわることで、ウレタン防水、シーリング、躯体補修、内外壁塗装の保証期間を15年と大幅に延長することも可能になった。
昨今のマンション大規模修繕工事を取り巻く状況は、いかに安く、早く、それでいていかに良い工事ができるのかを見据えた見積もり競争が多い。
しかし、いくら早くといっても実際には、外壁の下地を高圧洗浄する際も中塗りや仕上げ材の際も、しっかり作業を行うとともに、塗料等の十分な乾燥時間が重要だ。「安く、早く=良く」はどこかにからくりが必要ではないか。
じっくりと腰を据え、時間をかけて地道で良質な工事を目指す―長期的な視野を見ている新狭山ハイツが実践していることは、他の管理組合の参考になるだろう。
(大規模修繕工事新聞 第11号)