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全国各地のマンション大規模修繕トピックス

全国各地のマンション大規模修繕トピックス

㈱リノシスコーポレーション1級建築士事務所
佐藤成幸常務取締役

6月23日に東京・京橋で行った全国建物調査診断センターのセミナーから。佐藤常務がコンサルタントとして取り組んだ地域文化のよく表れた事例を紹介します。

【事例マンション1:京都市中京区・山鉾町(鯉山)】

7月は祇園祭りで有名な地区です。町内単位でこの1か月に及ぶ祇園祭りを支えています。
こうしたことから、ここの住民は内輪のものを重要視する、よそ者感があるものは敬遠する傾向にあるようです。
特に大阪から来るものが「よそ者」です。商い習慣の取り引きでは、何代前から付き合いがあるとか、とにかく「馴染み」を重宝したがるので、大阪に事務所があるコンサルタントなど相手にしてくれません。
大規模修繕工事の設計・監理の見積もり額を出しても、額より「信用」が優先されます。
では、
「信用」とは何か。一部上場とか会社規模ではなく、
「自分たちが知っているかどうか」ということのようです。
この事例マンションでは、設計コンサルタントの私たちが選ばれるまで7カ月かかりました。なんでこんなに時間がかかったのか。他のマンションの現場を訪ねて理事会に評判を聞いたり、その評判をもとに「こういう話があったけどどうなんや?」
などというヒアリングが実に3回もあったのです。
何社かと比較しているわけですから、時間はかかります。しかし、そうして「信用」を勝ち取ったのですが、最後はやはり
「任せるから金額を勉強して」と値引きを要求されました。

【事例マンション2:京都市中京区・高陽院】

この管理組合のキーワードもやはり「信用」でした。
コンサルタント契約を終え、施工会社選定に当たりまず管理組合の意向を確認しました。その様子です。
Q「施工会社に求めるものとは?」
A「価格もあるけど、一番は信用や。知ってる会社なら悪させぇへんやろ」
Q「よく知っている管理会社にしますか?」
A「悪うないけどなぁ。でもまあ嫁は変えられるけど、親は変えられへんからねえ」
この管理組合は何を言っているのか。数社での見積もり競争、リアリングをしても、結局、新築した元施工会社に決まったということです。
それがこの地域のキーワード「信用」ということなのでしょう。

このコーナーでは、同じ大規模修繕工事でも、地域性の差異を理解した上でコンサルタント業務に取り組んでいる例を紹介していきます。

(大規模修繕工事新聞 2013-7.5 No.437)


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