一般社団法人建物修繕技術協会、一般社団法人全国建物調査診断センター、たてもの株式会社主催の大規模修繕工事新聞読者セミナー第2弾を7月16日㈯、たてもの本社会議室で開きました。
当日は大規模修繕工事瑕疵保険加入等を要件に最大2,000万円の補助金が出る国土交通省平成23年度既存住宅流通・リフォーム推進事業(大規模修繕タイプ)の詳しい内容をたてもの役員が説明。
2部で㈲建物診断センターの澤田博一・一級建築士により、マンションの地震対策、大規模修繕工事の準備段階から工事後の引き継ぎまでを細かく解説してもらいました。
このページでは第2部の第1テーマ「マンション地震対策と防災マニュアル」について、次号で「大規模修繕工事のすべて」を報告します。
マンション地震対策では、4ページに具体的なマンションの取り組み事例を掲載していますので、そちらも参考にしてください。
第1テーマ「マンション地震対策と防災マニュアル」
一挙に目標達成でなくとも、できることから少しでも
<マンションの地震対策>
昭和56年6月1日より、建築基準法施行令が改正され、新耐震基準が定められました。
この基準に沿って建築されたマンションでは阪神・淡路大震災でも、東日本大震災でも大きな被害を受けていません。
とはいえ、上記以降に建設されたマンションでも建具や各種設備のライフライン、エレベーターについては耐震対策のチェックは必要です。
建物本体はよくても家具の転倒など専有部分内の対策も考えておかなければなりません。
ソフトの面でも、マンション全体で救助用具(バール・ハンマー・ロープ・担架等)、救急医薬品、飲料水、簡易トイレ、非常食他を用意しておく必要があります。
自治会や地域との連携も必要で、管理組合内で防災に対する担当理事を作っておくことも大切です。
<防災マニュアルの整備>
防災マニュアルは自治体によってガイドラインを作成しているところがあります(東京・中央区参照)。
居住者の安否確認や防災倉庫に辿り着くルートなど、実際の有事のときに役立つ備えをしておかないとなりません。
けが人や高齢者の救援救護どうやってやるか、今回の大地震のように会社勤めの男性陣がマンションを離れている日中に地震が発生した場合にどうするか、避難・被災生活では集会所(収容施設)はあるか、最初の1日はどう過ごすか、1週間程度暮らす場合はどうするのか―最初の3日は他に頼らないで自分たち
で何とかするという備えは必要でしょう。
まずはマンションでの対策本部の設置。高層マンションでは階ごとにグループに分けて安否確認、救助・救護活動をするところがあります。
対策本部は情報班、救護班、安全班、物資班の役割分担を決め、本部の長がまとめます。物資班は備蓄品の管理とともにどうやって水槽の水を公平に分配するか、実際にやってみないとわからないものです。
防災マニュアルは自らのマンションの規模や階数に合わせて検証が必要といえるでしょう。
一挙にゴール(目標達成)を目指すというわけではなくとも管理組合としてできることから少しでも考え、活動してほしいものです。
(大規模修繕工事新聞 第20号)2011-08