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大反響! 大規模修繕工事セミナー

講師を務めた㈱KAI設計・菅純一郎代表

全国建物調査診断センターは11月27日、東京・京橋の㈱住宅あんしん保証本社会議室で「工事費節約」をテーマに大規模修繕工事セミナーを行います(今号の裏表紙を見てください)。
大規模修繕工事を勉強された管理組合役員は、一般の組合員の理解と賛同のもと、総会の承認という大仕事が待っています。工事費の予算合意を得なければ役員は孤立してしまい、せっかく検討した工事も実施できません。
7月のセミナーでは大きな反響をいただきました。その講演の一部から、「資産価値を維持する驚きのマンション」の事例紹介を掲載します。

資産価値の維持とは…

そもそも何のために大規模修繕工事を実施するのか?
誰しもご自分のマンションの資産価値を維持したいと考えるのは当然です。そこで多くの管理会社や工事会社などは「資産価値の維持」という大義名分で大規模修繕工事の提案をしてきます。
しかし、「維持管理」という意味で大規模修繕工事はもちろん、大切なものですが、これが直接に資産価値・販売価格に反映するとは考えることができません。
そんな中で、築30年以上経過していても資産価値を維持している「驚き」のマンションがあります。
川崎市のAマンションは約1,000戸のマンションで、棟別に築35~33年が経過。工事については修繕委員会や各分科会を設置し、理事会と自治会が連携して管理会社に頼らずに毎年の事業を進めています。
マンションの評価額がどうして高いのか?この要因を調査するうちにさまざまな特色が見えてきました。
○マンション全体の10%以上が1世帯2物件を所有している。
→親世代が、子どもが住むために2件目を購入。結果として、このマンションで生まれ育った30歳前後の若い世代の2代目理事(居住者)が誕生している。
→2代目居住者の増加に伴い、子育て世代のマンションニーズが高まる。居住者の世代交代がスムーズに行われ、管理組合内が活性化する。
ではなぜ、1世帯2物件所有が増えたのでしょうか。
このマンションではある時期をきっかけに住民同士が協力し合い、管理会社への依存をやめて、自分たちでできることはやっていこうという方向転換を図りました。
その結果、管理費や工事費の比較検討も十分に行われ、理想的な経費削減・合理化を果たすことができました。
さらに地域の学校や町内会、近隣のマンションと連携したイベント開催などの効果もあり、売り物件が出た際はすぐ成約するという現象がみられるようになります。
この現象に気づいた元々の住民の多くは子ども世代が家庭を持ちはじめた時期でもあり、2件目を買っておこうという動きに出たようです。
これでわかるように、マンションの資産価値はそこに住む人たちのコミュニティによるものです。
大規模修繕工事は、建物としての性能を維持する意味では有効ですが、資産価値を維持するという意味では、それをきっかけにコミュニティを促進していくことで効果を表すといえるでしょう。
(大規模修繕工事新聞 第83号)