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不当利得金返還請求控訴事件/窓ガラス等の改修工事

【大星賞の判例検証】

不当利得金返還請求控訴事件
窓ガラス等の改修工事
費用負担は管理組合?区分所有者?

2009.12.24 仙台高裁
○事案の概要
マンションの管理組合が区分所有者に対し、マンションの改装工事相当額の不当利得金等の支払いを求めた事案
控 訴 人:管理組合
被 控 訴 人: 区分所有者5人(4人と和解したが、1人のみ判決に至る)
不当利得金: 被控訴人である区分所有者の専有部分又は専用使用部分の改修工事に対し、管理組合が支払った代金
○争点
工事個所
窓サッシの戸車、玄関内のタイトゴム、トイレ、風呂及び脱衣所の窓のタイトゴヘトイレの窓ガラス、窓サッシのクレセント、窓サッシのレール、網入磨ガラス及びその固定のためのシール、内倒し窓固定のためのシール、ピンチブロック

① 工事個所は専有部分か、専用使用権を有する共用部分か、専用使用権のない共用部分か
② 専用使用権を有する共用部分の場合、「通常の使用に伴う管理」か、それ以外か
③個別の総会決議を行ったか

管理組合の主張
・ 工事個所は、いずれも被控訴人らの専有部分又は専用使用部分に当たる
・ 本件マンションの管理規約によれば、専有部分又は専用使用部分の改装修繕等の費用は各区分所有者が負担することになっている
・ 被控訴人区分所有者らは管理組合に改修工事代金を支払わせた。つまり改修工事代金相当額を不当に利得したので返還を求める
区分所有者らの主張
・ 改修工事が行われた工事個所は、いずれも共用部分である
・ 共用部分の修繕・交換は管理組合の負担で行われるべきものである
・ 専門的知識を有する管理会社を信頼し、管理会社を通じて改修工事を発注・支払いを行った

 

大星賞 ◆大星法律事務所 ◆東京都中央区銀座6-3-12 数寄屋ビル9F ◆TEL 03-3571-1138 ◆著書: 『大星賞の不動産紛争Q&A』『施設トップのためのわかりやすい福祉経営』(共著)『住宅・設備をめぐる裁判事件解説集』(監修)『PL用語辞典』(監修)など
大星賞
◆大星法律事務所
◆東京都中央区銀座6-3-12 数寄屋ビル9F
◆TEL 03-3571-1138
◆著書: 『大星賞の不動産紛争Q&A』『施設トップのためのわかりやすい福祉経営』(共著)『住宅・設備をめぐる裁判事件解説集』(監修)『PL用語辞典』(監修)など

○裁判所の判断
・工事個所はすべて専用使用権を有する共用部分である
・ 共用部分の管理については、管理組合が責任と負担で行うが、バルコニー等の管理のうち「通常の使用に伴うもの」は、専用使用権者がその責任と負担で行わなければならない
・ つまり、「通常の使用に伴う管理」に必要な費用は専用使用権者が負担し、それ以外のものは管理組合が負担するということになる
・ 経年劣化による修理・交換は「通常の使用」に伴うものとした
・ 本件総会に際して配布された資料には具体的な内容は記載されておらず、工事代金を管理組合が負担する決議がなされたとみることはできない
○結論
本件改修工事は専用使用権がある共用部分の工事であり、「通常の使用に伴う管理」である。総会決議もないため、工事費用は個々の区分所有者が負担すべきである。
※ 区分所有者は控訴審判決後に上告したが、最高裁が上告理由を認めず平成22年4月23日、控訴審判決が確定した。
コメント
専有部分の配管改修工事を共用部分と一緒に行うため、すべて一括で修繕積立金から賄おうという事例が増えています。
ところが修繕積立金は共用部分の修繕を目的に徴収しているので、その辺の調整をしなければなりません。
専有部分内の配管や、バルコニー等の専用使用部分にしても、あらかじめ管理組合で費用の負担などの取り扱いを確認し、決めておけば、後のトラブルを回避できるのではないでしょうか。

(大規模修繕工事新聞 2013-10.5 No.46)

 


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