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マンション固定資産税、不合理はいつまで

住宅専用マンションと「民泊」

 NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2017年5月5日付第416号「論談」より
 

4月、マンションに住む世帯にも地方自治体から固定資産税の納税通知書が送られてきた。
固定資産税は、戦後まもなくシャウプ税制により導入された税で、地方税のひとつ。自治体には貴重な財源で、制度の改正や変更がほとんど行われていないことでも知られる。
ところがマンションにとっては不合理な面の強い税とされ、経済学者などから問題点が指摘されてきた。
◇木造に比べ約1.5倍高い
木造一戸建てに比べ、マンションの固定資産税は、新築当初から、1.5倍は高いとされている。マンションは新築後、建物について5年間、半額の措置が取られるが、それ以降は倍に戻る。しかも、住宅用地の固定資産税は200㎡まで6分の1に減額されるが、戸建てに比べ10分の1くらいのため、その恩恵がほとんどない。
また、固定資産税は建物の耐用年数が木造25年、マンションは60年と定められていて、大きな格差がある。この耐用年数は専門家の調査だと、現実にはどちらも50年程度とみられている。耐用年数に達しても木造・マンションとも、建物が取り壊されない限り、固定資産税は最後まで20%残る仕組みだ。
◇木造に比べ、不利な条件も
マンションの延べ床面積には、共用部分が各戸に上乗せられていて、自分の使う床面積より3割は大きくなっている。
それに木造では物価水準補正、設計監理費による補正、寒冷積雪地による減点補正などで減額されるが、鉄筋ではそれがなく、木造と最大4割も格差がつく。
最後に経過年数減点補正を行うが、前述のように鉄筋の耐用年数の60年と木造25年の差が効いてくる。
こうした不合理なマンション固定資産税について、NPO日住協も加盟している全国マンション管理組合連合会(全管連)では2年前から、国土交通省を通じて総務省などに是正を要望しているが、明確な回答はない。
政府はこのほど、20階以上の高層マンションについて、高層部の固定資産税と相続税を引き上げ、中低層部の税負担を軽減する措置を公表した。2018年以降に引き渡される新築物件が対象とされる。
最近の金持ち層の高層マンション買いによる節税対策を牽制する狙いだが、固定資産税でこんな措置が機敏に打ち出せるなら、既存マンションの固定資産税の不合理にもメスを入れてもらいたい。
(NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞90号)