「大規模修繕工事新聞」創刊から現在に至るまで、全ての記事をアーカイブ収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を上の<記事検索>にキーワードを入れるだけで表示させて、必要な記事を読むことができます。

「マンションAI®」活用術 (No.16) 「マンションAI®」に相談してみよう!

「マンションAI®」に相談してみよう!

現在、全建センターの「マンションAI®」は数多くのマンションの理事、あるいは組合員からご質問が寄せられ、それに対してマンションAIが回答している、という実例があります。
このコーナーでは、実際にこの数カ月の間に管理組合の皆さんが「マンションAI®」を活用されている実例を紹介します。

Q   

理事会が執行できる「決裁上限規定(決済規定)」や予備費の運用ルール設定について教えてください。一般的なマンションでは予備費をどのくらい設けているのですか?。

A    

マンションの理事会運営において、日常的な小口支出や緊急時の対応をスムーズに行うための「理事会専決などの金額基準」と、想定外の支出に備える「予備費の運用ルール」は、非常に重要な項目です。

1. 予備費の運用ルール設定と一般的な相場
◆年間管理予算における予備費の相場とルール
一般的な相場:
・年間の管理費総額(または一般会計予算規模)の 1%~3%程度、あるいは数万円~数十万円程度の定額で小規模に設定されるケースが多いです。
主な用途:
・予想外の小規模修繕(共用部分の電球の大量切れ、突発的な水漏れの応急処置など)
・消耗品価格の急な高騰や、年度途上の細かな事務費用の不足分
運用ルール例:
・ 「総額〇〇万円までの支出は、理事会の決議を経て予備費から支出できる」
・ 「原則として使途を明確にし、次回の総会で報告する」

2. 「決裁上限規定(代決・専決・理事長専決)」の仕組み
理事会が毎回の定例会を待たずにスピーディーに執行できる金額の上限(決裁上限)は、マンションの規模や年間予算によって異なりますが、適切なガバナンス(ルールによる統制)の観点から明確な段階を設けることが推奨されます。

① 一般的な金額の目安(規模別)
マンションの総戸数や年間管理費の規模によって異なりますが、実務上は以下のような設定が多く見られます。
・理事長(理事会)の専決、小口決済:数万円~10万円未満程度
(例:緊急の修繕、急を要する事務用品の購入など。後日の理事会で事後報告・承認とする)
・理事会決議による執行上限:10万円、~30万円、~50万円程度(管理組合の規模によっては100万円程度に設定することも)
(例:通常の保守点検に伴う軽微な部品交換、小規模な修繕工事など)
・総会決議が必要なライン:上記の上限を超える大規模な工事や契約変更、新規の長期リース契約など。

② 決裁上限規定を整備する際のポイント
1)緊急時の例外規定(緊急避難措置)
「台風による破損」「給水管の破裂」「オートロックの完全故障」など、放置すると居住者の生命・財産に重大な損害が出るおそれがある緊急時は、理事長判断で上限金額に関わらず先行して執行できる規定(応急処置権)を必ず盛り込みます(ただし、直近の理事会への報告と全戸への周知を義務付ける)。
2)相見積もりのルールとの連動
金額が上がるにつれて、「〇社以上の相見積もりが必要」という規定を連動させます。
例:10万円未満=1社見積もり可、10万円以上〜30万円未満=2社以上、30万円以上=3社以上など。
3)管理会社への委託限度額との違い
管理委託契約書の中に、管理会社がフロント権限で直接動かせる「小口修繕費用の自動決裁枠(例:1件あたり3万円〜5万円以下など)」が設定されている場合があります。
この場合、「管理会社への委託枠」と「理事会・理事長の決裁枠」が混同しないよう整理しなければなりません。
それとともに、管理会社からしっかり領収書を出しているか等、帳簿類の確認も確実に行うことが重要です。

大規模修繕工事新聞 2026-10月 202号