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マンション設備の改修 <解説と事例> 二管式排水について

 二管式とは汚水管 や雑排水管など「排 水するための管」と 「排水するために必 要な通気管」といっ た、2つの異なる機能の管が存在する排水方式のことをいいます。  
 排水管内は重力によって排水を上方から下方へ流れる ことから、空気の逃げ場を作るための通気管が必要とな ります。このため、排水管路における通気への配慮はと ても重要で、排水と通気は一体の設備として考えられて います。
 二管式は通気専用の立て管を、排水管とは別に併設す る方式で、高層の建物に適用されるケースが多いといえます。
 排水が落下するとき、排水の前にある空気の逃げ場が ないと、下階の排水トラップを空気が突き破ってしまう (トラップの破封)ことになります。
 また、通気管は「白ガス管」を使用しているケースが 少なくありません。さらに水が流れないので劣化しない ように思われがちです。ところが実態はネジ接合部等で内部がかなり腐食している事例が多いといえます。
 改修時には、まず自分のマンションが二管式なのかど うか、通気管があるかどうかを図面等で確認する必要が あります。
 二管式の場合は、排水管更新時には同時に施工した方 がよいといえます。「通気管だから」「予算がないから」 という考え方はおすすめできません。
 二管式を集合管方式(汚水・雑排水・通気管を一つの 管にまとめた方式)に変更する場合、改修工事では条件(勾 配、床下状況、サブ横主幹口径とスリーブ状況)が揃わ ないとかなり難しいと思った方がよいと言えます。
 さらに通気管を更新する際、最上階は下階に比べ、内 装工事や屋上での工事が増えるため、精神的・肉体的負 担が多くなります。このため、最上階の住民に理解と協 力を得ることも必要です。

(大規模修繕工事新聞 105号)

通気管と排水管を存在する二管式

排水管と通気管の更新前→耐火VP管に更新

近年は腐食しないプラスチック管への更新が主流