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築50年の改修履歴

 1963年、日本住宅公団が分譲したA団地の当時の販売パンフレットには、東京までの交通費が片道80円、通勤定期が3カ月で1,480円と記されていました。現在、同区間の料金は470円、39,610円にまで上昇しています。
 分譲当時、修繕積立金は団地全体の共用物である管理事務所や屋外灯、外構の計画修繕のみに補てんされるものであり、月額100円、200円程度に設定されていました。
 とはいえ、住棟のための積立金がないことは大問題であり、F団地の管理組合は、分譲後わずか2年目に、この問題を解消するために積立金を月額1,000円に改定している記録が残っています。
 F団地の大規模修繕工事は、計画どおり築11年目の1979年に実施されました。施工会社は入札方式で選定し、総工事費は8,200万円(戸当たり18万円、ただし工事監理費を含む)でした。
 マンションにとって、適切かつ現実的な修繕計画を立て、必要な積立金額を導き出すことは容易なことではありません。調査対象の事例マンションにおいても、積立金の額についてはいずれも大幅な改定を実施しています。
 F団地では、1回目の大規模修繕工事後に「5年もの」の修繕計画の見直しを実施。築14年目の1982年に屋上防水が計上したほか、給排水設備などの工事項目はなく、3,000円程度の積立金で賄っていけるものであったようです。
 今後、高経年マンションにはさまざまな問題が付きまといますが、居住環境と安全性のどちらかを優先して維持保全や改修を推進していくかについても様々な考え方があります。
 アルミサッシや建具の更新など、建物の省エネに関する助成金対象になるかという考え方がありますが、まずは耐震補強を実施するのか、いつ起こるかわからない大地震に備えることよりも直面する居住環境の解消を優先するのかという問題があります。
 また、どのような工事にいくらの費用をかけて実施するかという実績だけでなく、自分たちの大切な資産を維持するために、管理組合がどう考え、どう行動するかというソフト面について分析することも今後を見据える重要なファクターだと言えます。

大規模修繕工事新聞(120号)

『マンションを100年以上使っていくために
今やるべきこと~築50年時代のマンション再生~』
編集・発行/ JIA日本建築家協会関東甲信越支部メ
ンテナンス部会
B5判・144ページ
定価/ 2,900円(税込)
2019年9月発行
申し込み・問い合わせ/ TEL.03-3408-8291
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