配管工事は防火区画の取り扱いに注意を!
管理会社や悪質なコンサルタント、工事会社によっては、独自の給排水診断の結果から管理組合に対して大きな工事の提案をすることがあります。全国建物調査診断センター(全建センター)による第三者の視点からみると、こうした提案は管理組合の悩みや実際の問題点と異なるケースがよくあります。問題解決にならない提案は会社の利益重視主義のたまものです。
管理組合としては安易な給排水診断からの提案を信じず、全建センターのセカンドオピニオン制度の活用をご検討ください。
配管工事は防火区画の取り扱いに注意を!
マンションの給排水管更新工事を実施する際に、注意しなければならないのが防火区画の取り扱いです。
マンションは個別住宅の集合体の建物ですから、1戸の火災発生で多数の住戸が延焼しないようにしなければなりません。給排水管、特に排水管は多数の住戸にまたがって配管されていますので、住戸管の壁貫通部においては、耐火構造としなければなりません。マンションの区画について、以下の文言を覚えておくことをお勧めします。
・ 共同住宅等の住戸等間の開口部の無い耐火構造の床または壁の区画(共住区画)
・ 消防法施行令第8条に規定する開口部のない耐火構造の床または壁の区画(令8区画)
令8区画とは、「集合住宅と商業施設など複合用途のものが、同一建物にある場合、集合住宅と商業施設は開口部ない防火壁または床にしなければならない」という決まりです。
あまり大きな声では言えませんが、この区画貫通処理を間違って施工しているのを見かけることがあります。
過去に排水管を改修したが見て欲しいとに依頼があり、現地を見てみると、間違った施工をしている、というような話です。
排水管は壁に隠れて普段見ることがありませんので、施工会社が間違った施工をして壁を閉じてしまうと住民ではわからない状態になります。
火災は発生しないのが一番ですが、法令をしっかり守って施工する施工会社を選びたいものです。最近新しい機能を持った排水管も出てきていますが、間違った使い方をしているケースもあるの、排水管工事を検討している方は、一度確認して見て下さい。
「銅管に緑青」での工事提案には気を付けて!
管理会社等がマンションの給水給湯管の内視鏡調査を行い、報告書に「銅管に緑青が発生しています。更新が必要です」という内容が記載されていたなら、その報告書は信用できません。
知識がないのか、それとも工事発現させようと意図的に記述しているか―そのどちらかです。
銅管に発生する緑青とは、銅が酸化することで生成される青緑色の錆びです。錆というと、悪いイメージがありますが、緑青は逆で、銅の腐食を防いだり、抗菌効果をもたらす役割があります。有名な銅製造物は、鎌倉大仏や自由の女神があります。
両方とも青緑色をしていますが、それは緑青によるものです。金属でありながら、緑青によって保護され長持ちしているのです。給湯管に銅管が使用されているのは、耐熱性があることが利点となって使用されています。また「緑青は毒性がある」という風説がありますが、これも全くのウソで毒性はありません。
このような間違った調査報告で、不要な改修工事を発現させないように気を付けてほしいものです。
大規模修繕工事新聞(120号)