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マンション設備の改修 <事例と解説> マンション設備のこぼれ話

配管工事は防火区画の取り扱いに注意を!

 管理会社や悪質なコンサルタント、工事会社によっては、独自の給排水診断の結果から管理組合に対して大きな工事の提案をすることがあります。全国建物調査診断センター(全建センター)による第三者の視点からみると、こうした提案は管理組合の悩みや実際の問題点と異なるケースがよくあります。問題解決にならない提案は会社の利益重視主義のたまものです。
 管理組合としては安易な給排水診断からの提案を信じず、全建センターのセカンドオピニオン制度の活用をご検討ください。

給排水改修、入室日程の変更はお断り それでも1回だけ受け入れた理由は…

 給排水改修工事は、専有部分に入室して工事するケースが多く、入室日数も1週間連続になるケースがあります。入室日は工事会社が指定する日になるため、居住者が指定日に都合を合わせることになります。
 住民の総意で決定した工事は、できるだけ個人の事情やわがままを抑え、工事の決め事やルールを守ろうとする方がほとんどです。お互いが痛み分けする、この考え方が原則になります。
 しかし、どうしても日程を変更して欲しい、という方がたまにいらっしゃいます。私が昔、工事業者として工事概要住民説明会を実施した時、どうしても日程を変更して欲しいというケースが多数ありました。
 そういうお問い合わせには「日程変更はできません」「葬祭を前提に話をされても困ります」「仕事の都合は申し訳ありませんがご調整願います」等々お断りしていました。
 だだし、1回だけ変更を受け入れ、結果多数の日程変更を実施したことがあります。その要望は入室日程最終日の翌日が子供の高校入試の日だったのです。
 第一志望校なのでどうしても合格するようにしたい。入室工事を日程通りに行うと、子供の部屋が内装工事部にあたり、事前に大幅な片づけを行わなければならず、工事期間中は追い込みの勉学に支障が出てしまいます。
「日程を変更していただければ、それ以外はどんな要求も受け入れます。何とかお願いします!」と懇願されました。
 子供を持つ親の必死のお願いです。あまりの必死さに、修繕委員長に相談をしたところ、修繕委員長は「原則は原則。例外は管理組合としては一切認められません。本件は淵上さんの裁量にお任せし、その決定は修繕委員会
としては否定しません」との回答でした。
 私は数分思慮し、要望を受入れ、変更を要望した住戸の入室日程を1週間ずらしました。
 この要望を受け入れたことにより、他19戸の日程変更が発生することになりました。配管は上下階につながっており、1戸の変更が多数の変更になってしまうのです。
 住民説明会直後に、変更住戸19戸に日程変更のお願いに回りました。
 変更の理由は「当方工事会社の日程記載ミスでした。
日程を変更させて下さい。日程を変更しないと工事に支障が出てしまいます。何とかお願致します!」とし、各戸にお願いしました。
「工事会社が工事前にこのようなミスを犯すなんて…施工は大丈夫なのか?」「何でこんなミスが発生するのか!
企業としてありえない!」等々、さんざん言われましたが、何とか全戸変更の了承を取りつけました。
 各戸に「1戸の変更要望がありまして…」とは言えませんでした。
 あれから10年以上の月日が経過しました。高校受験の結果は知る由もありませんが、変更を要望された住戸のお子様は、もう社会人になっていることと思います。社会に役立つ人材になっていることを祈ります。
 あの時日程を変更してもらってよかった!となっているのかどうか…。

大規模修繕工事新聞(123号)