大規模修繕工事 周期見直しの検討を
NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2020年4月5日付第451号「論談」より
◇専門家もいろいろ
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中が混沌としている。専門家会議は、大規模なイベントは引き続き慎重な対応を求める一方、感染のない地域は学校の活動を再開してもよいとする見解をまとめた(3月19日現在)。
政府はこれをもとに対応を示すことになる。データ処理によって結果が変わるが、そのあたりに疑問がある。
休校は、感染者の減少が認められたので効果があったとされるが、実態とはことなる。データや専門家たちの知見にバラツキがあるのではないかと思える。
国はSARSやMARSの経験を教訓とせず、次に備えてこなかった。トップは「やっている感」のアピールに終始している。
「原子力発電は安全である」とした国と業界、それに迎合した専門家たち。その構図とダブル部分がある。新型コロナウイルスでわかったのは、そのようなことと、専門家の中でも本当のプロはごくひと握りであるということだ。
◇二重関係を断ち切る
特に大規模修繕工事において、すでに管理委託契約を結んでいる管理会社が、元請けや設計など受注しようとする二重関係は大きな問題である。
この場合、管理会社は管理組合の財布の中身すべてを把握しており、大規模修繕工事によって、それを吐き出させようとしている。
他社との競争がないので、設計や工事費は高くなる。仮に競争に見せかけても、管理会社が談合などをやらせるのでは数割高くなる。
二重関係は利益相反であり、コンプライアンスに反する。コンプライアンスを法令遵守と矮小化しがちだが、そもそも法を守るのは最低限の当たり前のこと。コンプライアンスは、それに加えて規約や社則、それに社会的倫理をも含む概念である。
◇管理組合の自立がプロの選別に欠かせない
二重関係のない設計コンサルタントや施工会社と契約することが、管理組合の利益につながる。
それらが、本当に管理組合の利益優先をも含めたプロ中のプロなのかを見極めなければならないが、その相談を行う際も、管理会社やエセ専門家では、「愚申」を得ることが多いのではないか。
その基本は、管理組合の自立的管理と理事自らが理事会のフレームを時に疑い、真に民主的な手法によって運営を進めることに尽きる。
管理組合はガバナンスを確認して危機意識を醸成し、二重関係を断ち切り、健全な運営を進めていきたい。
(NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞 125号)