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全建センター第45回管理組合セミナー(その3)

「大規模修繕の周期は12年から18年へ」その3

~実例から学ぶその手法について~

講師:全国建物調査診断センター・佐藤成幸理事(マンション管理士)

■ 18年周期の懸念事項を解決することで、よりメリットを享受できること
①塗装材料や防水材料に高耐久性のものを採用する
→シリコン、フッ素だけに頼らない無機系材料の見直し
②下地補修工事の精度の向上
→ マーキング段階からの全数検査、不良個所の図面プロット記録
③タイル貼り替え工事の精度の向上
→タイルの剥離、浮きの原因追究
→接着剤貼り工法等の材用検討へ
④保証至上主義に陥らない冷静な判断
→ 特に防水材料で20年保証などとアピールする業者もいるが、よくよく調べると外国製輸入製品、日本で20年以上の実証実績があるわけでもないものも多数ある。20年に踊らされない冷静な判断を
⑤大規模修繕工事まで何もしない発想の転換を
→ 例えば12年を超えたら2、3年に1回程度は建物調査をして不具合個所の経過観察保証期間が経過した部位の屋上防水等の重要個所の年次点検を行うなどして、劣化の進捗を常に把握しておく
→ 今現在の正確な建物状況を把握できるようにしておき、根拠のない不安を払しょくする
⑥ 不具合個所があればピンポイントでも部分補修する、手入れをする感覚を持つ
■18年周期をめぐる環境
① 現在、さまざまなマンション管理組合向けコンサルタントや団体が、大規模修繕工事12年周期の否定と18年周期を目指すことを発信してきている。
【例えば】
・ 施工会社の業界が定期的に受注できる仕組みを自ら壊すわけはない、耐久性のある技術的な提案ができる施工会社がない
・ 管理会社の長期修繕計画を鵜呑みにして12年周期で大規模修繕工事をするといくら積立金があっても不足するから、きちんとした専門家からの視点でしっかりとした計画が必要
・ 建築基準法第12条の特定建築物定期調査報告義務(3年ごと)を確実に履行する
② 管理会社も一部その動きを見せているが、自社工事受注の営業活動的な面がまだまだ強いのが現状である。
【例えば】
・ 材料メーカー、協力会社の協働により、管理会社・施工会社の責任施工で業界標準を超える長期保証
・ 一方で建築基準法第12条に特定建築物定期調査の外壁打診点検が必要。16 ~ 18年の周期はあくまで目安とする
③ 各種材料メーカーも高耐久製品やメンテナンスとセットで高寿命の材料を開発、市場に供給しつつある。
【例えば】
・ 関西ペイントによる有機材と無機材のハイブリット化(高耐久材料化)
・ 田島ルーフィングによる長期暴露試験結果を受けての材料提案と工事後の定期メンテナンスの提案
■18年周期への仕組み作り
①全建センターのトータル・マネジメント方式
・ 工事に最低限必要なのは「発注者」「請負者」。このマッチングを行う仕組みを推進する


(大規模修繕工事新聞127号)