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弁護士によるトラブル相談シリーズ/単身高齢者住戸がゴミ屋敷に 管理組合としての対応は?

ある単身高齢者の住戸がいわゆるゴミ屋敷で、ありとあらゆるゴミが居室のみならず、バルコニーにも山積みになっています。これらのゴミの落下の危険や、最近では近隣住戸を中心にゴキブリが増えたとの苦情もあります。管理組合として何かできることはないでしょうか。

Point

① バルコニー等の共用部分へのゴミの放置に対しては法的措置が可能
②専有部分内の問題には原則として関与できない
③ 成年後見制度や福祉へつなぐことが功を奏することもある

 バルコニー等は共用部分であり、ゴミを山積みにする行為は、通常は、管理規約や使用細則で規定された用法に違反するはずです。バルコニーは下階や隣戸への避難経路としての効用があり、それを阻害したり、バルコニーからゴミが落下する危険があるなどの場合は、「共同の利益に反する行為」(区分所有法6条1項)に該当することが通常でしょう。
 このような共同利益背反行為に対し、管理組合としては以下のような手順を踏んで状況の改善を求めていくことになります。
 ①理事会の決議に基づき、必要な勧告・指示・警告を行い、任意の対応を促す、②これによっても改善がみられない場合には、ゴミの撤去等を求める訴訟を提起する、③管理組合側の勝訴が確定してもこれに従わない場合には、ゴミの撤去等の強制執行を行う。
 他方、専有部分内は、原則として管理組合が関与することができません。
 しかし、異臭が専有部分外に漏れ伝わる、専有部分内の法定点検を拒否するなどの事情があれば、例外的に管理組合が関与することが可能になります。具体的な対応は共用部分のケースと同じです。
 また、認知症等の罹患による問題であるとすると、法的措置では抜本的に解決しない可能性があります。単身高齢者であれば、組合員名簿の緊急連絡先などから親族と協力して対象者を必要な治療や福祉へとつなげていくことが適切です。親族から協力を拒否された場合には、行政による福祉や家庭裁判所による後見制度などにつなげます。
 後見制度の利用により、問題の抜本的な解決、訴訟等の法的措置が不要になったケースもあります。

(大規模修繕工事新聞 第129号)

〈参考引用〉
『マンション管理組合のトラブル相談Q&A』
著者/中村宏弁護士・濱田卓弁護士
発行/民事法研究会
A5判・301ページ
定価/ 3,100円(税別))
2019年2月発行
ISBN:978-4-8655-6271-2