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安心して住まう「コツ」とは /終の棲家」としてのマンションを考える(2)

 平成16年、マンション標準管理規約が改正され、いわゆる「コミュニティ条項」が追加されました。管理費の使途に関して「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に関する費用」(旧27条10号)に充当するとされ、管理組合の業務として「地域コミュニティに配慮した居住者間のコミュニティ形成」(旧32条15項)とされた規定です。
 居住者間のコミュニティ形成は、防災や防犯対策に役立つだけでなく、日常的なトラブルの未然防止、大規模修繕工事等の円滑な実施にも効果的で、適正な管理を管理組合が行う上で必要な業務のひとつであると確認されたのです。
 ところが平成28年の標準管理規約改正で、この「コミュニティ条項」が削除されました。理由は、管理組合は建物を維持管理する財産管理団体であり、良好な地域社会の維持・形成に資する地縁団体である自治会とは区別されるものだから、です。

コミュニティ形成に資するお祭りや各種イベント、レクリエーションなどの親睦的な活動はあくまで自治会の範囲で、管理組合業務には当てはまらないという理屈です。
 標準管理規約改正を検討する国交省の委員会では当時、居住者間のコミュニティ形成をいいことに、一部の理事会メンバーが管理費を使って飲食をしているケースがあると、ことさら問題にしていました。
 確かに一部の人たちだけが管理費の使い道を享受するなど衡平性に配慮を欠いた行動は問題視されるべきでしょう。しかし、コミュニティ条項を過度に意識し、コミュニティ活動を排除する方向へ向かってしまうことは、かえって適切なマンション管理に支障を生じさせる可能性もあると考えられます。
 高齢者等の見守りサークルの活動費を補助している管理組合、自治会が主催するお祭りに必ず後援として管理組合名を入れるマンションなど、コミュニティ活動に管理組合が関与しているケースは非常に多くあります。
 コミュニティ形成について法律に明確な定めはありません。平成16年版、平成28年版のどちらの標準管理規約を参考にして(またはどちらも参考にせず)、自分たちの管理規約を仕上げていくのか、しっかり話し合うことが重要だといえます。
 良好な住環境にするためにどんなルールが必要で、どのように作っていくか―それが「終の棲家」として安心して住めるマンションとなる「コツ」といえるでしょう。

 

  <参考文献:『管理組合・理事のためのマンション管理実務必携第2版』マンション維持管理支援・専門家ネットワーク編/民事法研究会発行>

(大規模修繕工事新聞 136号)