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高齢者の自宅売却トラブルに注意! 悪質不動産業者の強引な勧誘が横行

 独立行政法人国立生活センターは6月24日、全国の消費者センター等に自宅売却に関し、特に高齢者が契約当事者となっている相談が多く寄せられているとして、相談事例の紹介とともに注意喚起を求めるよう関係機関に要望を出しました。
【事例1】(2021年1月受付/80歳代女性)
 突然、不動産業者が2人で訪ねて来て、「住んでいるマンションを売らないか」と朝10時から夜9時半まで居座られた。翌日も訪ねてきて朝10 時から夜7時頃まで居座られた。「マンションを売ったら入所できる施設は探してあげる」などと言われたのち、2,300万円で売ることになってしまった。何か書面に署名押印したが、何の書類か覚えていない。

【事例2】(2020年12月受付/80歳代女性)
 不動産業者が2人訪ねてきた。「自宅マンションを1,000万円で買い取る。その後は13万円の家賃を払って住み続けられ、管理費や修繕費、固定資産税がかからなくなるので有利だ」と言われた。要介護認定を受けており、一人では決められないと言い断ったが、「マンションが古いので早く決めないと売れなくなる」などとせかされた。その後もう1人加わり、夜11時頃まで夕飯も食べずに勧誘され、契約書にサインしてしまった。

【事例3】(2020年9月受付/80歳代女性)
 不動産業者から築40年のマンションを2,500万円で売ってほしいとの電話があった。3日後にまた電話があり「2,400万円で購入したいという人を連れて来た」と言われた。断ると、次に営業員と経理担当者と名乗る人がエントランスで待っていた。書面に署名押印するように言われて内容を理解できないまま、その場で手付金約450万円を渡され、2,400万円で契約することになってしまった。翌日、営業員に契約をキャンセルすると電話したところ、「キャンセルするなら約 900万円が必要」と言われた。

消費者へのアドバイス


(1)クーリング・オフはできない
 消費者が不動産業者に自宅を売却する場合には、宅地建物取引業法に定めるクーリング・オフができず、売買契約が成立してしまうと、無条件で契約を解除することはできません。
 売主が契約を解除する場合は、手付金の倍額を買主に支払う、いわゆる「手付倍返し」で解除することとなり、手付解除の期間が過ぎると、ほとんどの場合、契約条項に基づく違約金が必要となるため、注意が必要です。
(2)解決するまで契約はしない
 不動産業者の説明を聞いたり書類に目を通したりしても、よくわからないことや納得できないことがあるときは、それらが解決するまでは契約しないようにしましょう。
 また、契約する前に、家族や友人等の信頼できる方に相談し、できるだけ一人で対応しないようにしましょう。
(3)勧誘はきっぱり断る
 消費者が勧誘を断ったにもかかわらず、勧誘を続けることは禁止されています。「もう勧誘はしないでください」「やめてください」等と明確に不動産業者へ伝えましょう。
 通話録音装置や迷惑電話対策機能の付いた電話機を利用することも考えて、知らない電話番号からの電話には出ないようにしましょう。

★消費生活センターの連絡先
消費者ホットライン「188(いやや!)」番不安やトラブルは、できるだけ早く消費生活センター等に相談してください!


(大規模修繕工事新聞 第140号)