風害・水害、命を守る!
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2021年9月5日付第468号「論談」より
◆浸水被害が多発
8月の大雨により、西日本を中心に土砂災害や浸水被害が発生。人々の生活が脅かされ死者も出た。9月以降も台風などに襲われる可能性があるので、備えておきたい。
2019年の台風15号では、マンション屋上の防水シートが剥がれるなどの被害もあった。また、ベランダに置いてあった植木鉢が突風で飛び、仕切り板やガラスを破るなどの被害も千葉県のマンションで多発し、19号ではタワーマンションなどが浸水被害にあった。
近年は、風害に加え水害が多発。水害では、線状降水帯があげられる。
発達した積乱雲が帯状に連なり、同じ場所を通過または停滞し、非常に激しい雨が降り続く現象をいう。
◆命を守るために
特にマンションの1階などで浸水の可能性がある場合は、災害気象情報と線状降水帯の位置とその動きに注視しつつ、避難指示に備えておきたい。
あらかじめハザードマップでマンションの立地と危険度等を認識し、近くの河川はもちろん離れていても氾濫の影響等を確認しておきたい。
都市部では、暗渠になっている水路から雨水が溢れたり、下水の処理能力を超えた大雨によって内水氾濫し、マンションの地下などに浸水する。
命を守るには「防災気象情報」と「警戒レベル」を理解し、素早い行動につなげること。建物からの立ち退き避難か、2階以上への移動が可能なのか。
管理組合は、災害の状況と何を行うべきかの判断、そして避難行動訓練をしておきたい。地震などを想定した避難訓練は行っているかもしれないが、水害の訓練もマンションの立地によっては必要である。
◆気象庁の後押しジャンケン情報
気象庁は6月、「顕著な大雨に関する情報」という新しい情報を出し始めた。「この情報が出たときにはすでに避難が難しいケースもある」とし、「この情報は将来の予測ではなく、大雨が降った後に出される」としている。そこで、「顕著な大雨に関する情報」を補足するために「線状降水帯」を表示するとしている。
命を守るためには、不要な情報に振り回されたくない。気象庁の意味不明の情報発出は混乱を招きかねない。 (NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞 142号)