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マンション管理適正化法改正の施行等を踏まえた 東京都の取り組み

●東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例
 東京都は、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進するとともに、その社会的機能を向上させることにより、良質なマンションストックの形成等を図り、都民生活の安定向上等に寄与する目的として、管理組合等に対する管理状況の届出義務を規定した都道府県初の条例を制定・交付しています。
<平成 31(2019)年3月>


【マンション管理状況届出制度】
 令和2年4月、都の条例に基づき、管理不全マンションの兆候を把握するため、管理組合等から管理状況などの届出制度を開始(要届出マンションは昭和58年区分所有法改正以前に建築されたマンションのうち、6戸以上のものが対象)。その届出の管理状況に応じて、助言・支援等を実施しています。
 令和3年6月末現在、対象約12,000件に対して、8,871件(約73%)の届出がありました。このうち、管理不全の兆候の有無を判断する上での必須の事項(7項目)で、ひとつでも「ない・いない」と回答したマンション(管理不全の兆候があるマンション)が1,353件ありました。
 必須7項目の結果が下記円グラフで、修繕積立金のない管理組合が28.8%、計画的な修繕を実施していない管理組合が61.4%あることがわかりました。

大規模修繕工事新聞 143号

【マンション施策推進検討会の設置】
 令和3年8月、第1回検討会を開催。年内までに3回の検討会を開き、検討内容を踏まえて施策に反映。法的に管理適正化推進計画の策定は任意となっているが、東京都としてはこの制度が町村部まで運用できるよう、国が定める手引きなどを参考に令和4年2月、町村部の管理適正化推進計画(案)のパブリックコメントを募集し、3月に管理適正化推進計画を策定する予定です。

【町村部以外の区市への対応】
 国では、管理適正化推進計画認定制度に金利優遇などのインセンティブを盛り込むことを検討しているようですが、その前提となる区市による管理適正化推進計画の策定時期は現時点でさまざまな状況にあります。
 各区市に対しては、国が示した手引き、都の現行計画などを踏まえて、区市の計画策定の参考にしてもらうため、ひな形の提示、担当者向けの勉強会等を実施して、策定を促進していく予定です。

【優良マンション登録表示制度】
 既存のマンションの適正な維持管理の推進とともに、流通市場の活性化を目的として、建物の性能と管理の両
方において一定の水準を確保しているものを「優良マンション」として認定・登録し、広く都民へ情報提供する
制度で、平成15年度から実施しています。
 現在は消費者等の認知度が不足しており、書類省略、手数料割引などの認定メリット等、認知度向上策も含め、
見直しを検討していく必要があると考えています。