厚生労働省は、「身体障害者補助犬の質の担保と受け入れを促進するための研究(平成31年度-令和2年度 厚生労働科学研究)」の成果物として、『補助犬ユーザー受け入れガイドブック』と、要約版のパンフレット『もっと!どこでも補助犬同伴mini book』を作成しました。
身体障害者補助犬とは、盲導犬、介助犬、聴導犬のことで、特別な訓練を受け、「身体障害者補助犬法」に基づき認定されています。身体の不自由な人の社会参加のためにも、補助犬の受け入れへの認知と理解が必要といえます。
また、分譲マンションではペット飼育不可の条文を管理規約に規定している場合もありますが、ガイドブックでは「ペット可・不可などに関係なく、すべての物件において補助犬を必要とする人の権利が保障されることが望まれます」とあります。
このため、分譲マンションにおける様々な場面を想定した対応例や実例を踏まえて、補助犬ユーザーはもちろんのこと、同じ集合住宅を利用する入居者など、『すべての人が安心して補助犬の同伴/使用を受け入れられる社会の創造』を掲げて作成されています。
【管理規約の確認】
ペット飼育を認めるかどうか、また認める場合にどのような条件で認めるかは規約で定める事項です。基本的な事項を規約で定め、手続き等の細部を使用細則に委ねることができるとされています(マンション標準管理規約コメント18条関係②)。
ペット不可、ペットの制限を設けている場合は、補助犬に限って分譲マンションへの同伴を受け入れることを記載します。これは住民である補助犬ユーザーが飼育する補助犬だけでなく、来訪者が同伴する補助犬に対しても適応されるものでなければなりません。
ペット飼育が容認されている管理規約の場合も、共用部分は抱き上げなければならない、小型犬でなければならないというような制限を設けている場合は、補助犬にはその制限が当てはまらないと追記するよう望まれています。
既存の管理規約に補助犬の説明がない場合には、いつ入居者が補助犬との生活をはじめても問題ないように、また、いつ補助犬を同伴した来訪者があっても対応できるように、事前に管理規約の改正を行っておくことがすすめられます。
<ペット飼育を禁止する場合>コメント18条関係③
(ペット飼育の禁止)
第 ○条 区分所有者及び占有者は、専有部分、共用部分の如何を問わず、犬・猫等の動物を飼育してはならない。ただし、専ら専有部分内で、かつ、かご・水槽等内のみで飼育する小鳥・観賞用魚類(金魚・熱帯魚等)等を、使用細則に定める飼育方法により飼育する場合、及び身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)を使用する場合は、この限りではない。
<ペット飼育を容認する場合>
(ペットの飼育)
第 ○条 ペット飼育を希望する区分所有者及び占有者は、使用細則及びペット飼育に関する細則を遵守しなければならない。ただし、他の区分所有者又は占有者からの苦情の申し出があり、改善勧告に従わない場合には、理事会は、飼育禁止を含む措置をとることができる。なお、身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)を使用する場合は、ペット飼育に関する細則は当てはまらない。
大規模修繕工事新聞 149号