マンション総合保険にもマネジメントを
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2022年9月5日付第479号「論談」より
管理組合が掛ける火災保険=マンション総合保険について改めて考えてみたい。
◆総合保険の内容
この保険は、保険会社によって名称や付保範囲は必ずしも一致しない。
一般的には火災を基本に、落雷や破裂・爆発、風災、雪災、盗難などにより、建物の共用部分などに被害を被った場合に保険金が支払われる。
個人の専有部分の火災保険は共用部分の損害がカバーされていないケースが多く、一般的には管理組合としては不慮の災害に備えて、マンション総合保険をつけておくのが望ましい。
マンション総合保険は、このほかに地震保険や、施設賠償責任、個人賠償責任包括などを特約で加えることもできる。
◆合理性を考えて
これらの保険そのものや特約のそれぞれについて、管理組合はどういう態度をとるべきか。一般的には管理組合が、予算外の不時の事故による支出に備えて保険をかけておくのは当然である。
ただ、大型マンションや団地では、保険料を支払うより事故ごとの自力対応の方が経済的だとして保険を掛けていないところもある。
これは、支払保険金と保険会社の経費・利益を保険料で賄うという保険の仕組みそのものからいって根拠があり、組合員の合意があれば特に問題はない。
◆付保内容の検討
最近の保険は会社ごとに差異があり、基本契約も建築年数により各項目の免責金額や保険料率に変化があり、必ず何社か見積もりを取り、その内容を詳細に比較・検討することが重要である。
特約のうち、管理組合としてよく検討すべきは地震保険である。確かに最近、大型地震の頻発もあって、地震保険を付保する割合は高まっている。
しかし、地震保険の保険金は主契約の火災保険の30~50%と限定され、かつ全壊・半壊などの査定がきびしく、その上保険料もかなりの額である。
したがって付保には建築年数や建物の強度などマンションの条件をよく検討した上で採否についての合意形成が求められる。
施設賠償責任特約は一般的には付保の必要性が強い。
個人賠償責任包括特約はそもそも管理組合の管理業務の対象外であるが、特約にすれば基本的に全員に適用されるので、付保している管理組合も多い。
付保の可否は、組合員の意向次第である。また、浸水の危険のある立地条件や地下駐車場を持つマンションでは、基本補償入らない水災などの特約の付保を検討する必要がある。
(NPO日住協論説委員会)
(大規模修繕工事新聞 154号)