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「働き方改革」が大規模修繕工事を直撃!/建設業2024年問題

「働き方改革」が大規模修繕工事を直撃!建設業2024年問題/適正な給料、時間外労働規制の適用

2019年に施行された改正労働基準法の猶予期間が終了し、2024年4月1日から建設業で規制が適用されます。3K(きつい、汚い、危険)イメージの強い建設業界でも「働き方改革」が進むわけです。
 技能者の適正評価・適正賃金、週休2日制(4週8休)の確保、時間外労働の上限規制(残業の抑止)といった「働き方改革」は、建設業にとって作業員の高齢化、若年層の就職離れ対策に必須です。
 とはいえ、現在は原油の高騰などにより原材料の値上がりが続いています。加えてこの「建設業2024年問題」です。大規模修繕工事を直撃するものとして、よりいっそう管理組合の理解と覚悟が必要になるといえそうです。
 年間の実労働時間については、調査した全産業と比べて364時間(約2割)長く、年間の出勤日数も全産業比で32日も多い。日建協「2020時短アンケート」によると、建設工事全体で、技術者の約4割が4週4休以下で就業している状況にある。
 建設業界の「働き方改革」では、1日8時間および1週間40時間労働、同一賃金同一労働、月60時間超は残業代50%アップ、年次有給休暇の5日間取得等が進んでいきます。
 また、技能者の適正評価についても実現されるようになります。具体的には、技能者の資格・現場の就業履歴・社会保険加入状況などを登録、蓄積することにより、技能や経験にふさわしい給料や待遇を得るためのデータとなります。
 「給料の安さ・労働環境の悪さ・価値観の違い」による建設業の担い手不足からの脱却を目指すというわけです。
 では、管理組合の理解と覚悟とはどういうものでしょうか。
 「働き方改革」が必要とはいえ、大規模修繕工事で「言い値を支払え」ということではありません。適時適切な修繕を適正な金額で行うことが今後、さらに必要になるということです。
 そして、何より修繕費用の適切な積み立てです。
 年度事業計画を管理会社任せにしている管理組合では、建物の維持管理費、小修繕費等で計画通りの積み立てができていないケースが散見されます。
 計画通りの積立残高がないため、修繕積立金の値上げ検討→値上げ否決→工事費のダンピングなどといった流れができあがってしまうのです。
 当該年度の予算や決算書で無駄な支出がないかをチェックし、資金計画に沿って修繕積立金がきちんと確保されているかを注意しましょう。
 自分たちの財布は自分たちで管理する―大規模修繕工事の費用を計画的に、確実に積み立てていく―それこそが管理組合の理解と覚悟です。

大規模修繕工事新聞 162号