マンションの劣化と調査・診断の基本③
一般社団法人全国建物調査診断センター 調査担当 諏訪間昌己氏
●劣化現象
その3<鉄筋コンクリートの劣化>
コンクリートのアルカリ性が失われると、鉄筋が錆びて強度が低下し、躯体全体の強度が下がります。
また、鉄筋は錆びると膨張して表面のコンクリートを押し出し、外壁の剥落や鉄筋露出につながります。
しかし、露出している部分以外の鉄筋の腐食や強度劣化は、基本的には外面からの判断ができません。
●調査・診断方法
<鉄筋コンクリートの破壊・非破壊検査>
鉄筋の腐食状態の調査・診断を正確に行うには、①躯体を部分的にはつる破壊検査を行います。さらに②電磁波レーダーによる非破壊検査を行い、できるかぎり広範囲の状態を把握します。
電磁波レーダーは、電波を放射して鉄筋からの反射波を検出して行うものです。コンクリートをはつる破壊検査の際にも、コンクリート内部にある鉄筋の位置とかぶり厚さを確認するために使用します。
かぶり厚さとは、コンクリート表面から鉄筋までの距離です。鉄筋の腐食防止、鉄筋の温度上昇の防止、コンクリートの付着強度のためには適切なかぶり厚さが
必要です。
大規模修繕工事新聞 162号
電磁波レーダーによる鉄筋探査状況(非破壊検査)