劣化現象
その4<鉄筋コンクリートの表面劣化>
(1)浮き・剥がれ
仕上材が躯体から剥離した状態、躯体コンクリートの鉄筋のかぶりが浮いている状態をいいます。浮きがさらに劣化すると仕上材やコンクリートが躯体から剥がれ落ちます。
(2)錆汚れ
腐食した鉄筋の錆がひび割れ部から流出して、仕上材やコンクリートの表面に付着する状態をいいます。
(3)エフロレッセンス(白華現象)
硬化したコンクリートに出る現象で、白色の粉状(結晶状)になった状態のものをいいます。コンクリート中の可溶性物質(石灰・炭酸カルシウム)が水に溶けて表面に染み出し、空気中の炭酸ガスと反応して固まったものが主成分です。
染み出した物質が漏水跡を残し、外観上の劣化としても目立つ状態になります。原因は、コンクリートのクラックやひび割れ部分からの雨水などの浸入です。
調査・診断方法
<接着強度・付着強度の引張試験>
壁面のタイルや外壁モルタルの塗り面に接着剤でアタッチメントを取り付け、測定機器を取り付けて引き抜くことにより、外壁タイルや外壁モルタル塗りの接着(付着)強度を診断します。
<コンクリートの強度診断>
コンクリートの圧縮強度診断においては、破壊を伴わない非破壊検査と、一部損壊を伴う非破壊検査があります。
非破壊検査はシュミットハンバー等のリバウンドハンマーでコンクリートの表面を叩き、跳ね返りの程度によって浮きの有無や程度を診断します(反発度法)。跳ね返りが大きいほど、コンクリートの強度が大きいと推定します。
破壊検査は、コンクリートのコアを抜き取り、これに荷重(圧縮力)をかけてつぶす(破壊する)ことによって、強度を測定します。
反発度法のほうがコア抜き破壊試験よりもコンクリートの強度が大きくなる検査結果の傾向があるようです。
大規模修繕工事新聞 163号