区分所有法制の見直しを直視しよう
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2023年7月5日付第490号「論談」より
いま、マンションを取り巻く環境が大きく変化しようとしている。
区分所有マンションの管理適正化の推進を目的とし、2022年4月に運用が開始された国土交通省の「管理計画認定制度」。
そして、高経年マンションのストックの拡大を背景とした区分所有建物の管理不全化に歯止めをかける目的で、いわば障害となっている総会における現行の特別決議要件を緩和して管理や建替えの円滑化が、法務省の主管のもとで検討が進められている「区分所有法制の見直し」など、区分所有の基本に関わる重要な変化が生じようとしている。
管理組合などは公表されている中間試案を確認し、7月の意見公募に応じたい。
◆2つの高齢化を克服する
こうした環境の変化をもたらしている根本的な理由は、増加の一途をたどる高経年マンションストック、居住者の高齢化に伴い困難に直面する管理組合運営、そして老朽化ストック維持への危惧などと考えられるが、マンション管理組合における実像はどうなのか。
われわれが日ごろの相談や管理組合との接触で得ているところから見れば、NPO日住協の会員はもとより、こうした社会的な背景を認識しながらも、困難な状況に立ち向かい、適正な管理を続けている管理組合は多くあり、これらを支えているのは、近年著しい“終の棲家としてのマンション”への意識変化と、豊かなコミュニティを実現しようとする、居住者の熱意や対応力ではないかと考えている。
◆自立管理とビジョンの策定
NPO日住協は、日ごろから管理組合における自立管理と、自らのコミュニティの将来像を描くこと、つまり“ビジョン”策定の重要性を提唱している。
このことは、マンション管理を巡り環境が大きく変わろうとしている現在、もっとも必要な視点ではないかと考えている。
建物や設備の維持管理に目を向け、さらに、現実をしっかりととらえながらも将来に向けたコミュニティ増を模索する「NPO日住協マンション管理大学Ⓡ」は、マンション管理に関わる行政、専門家、企業など、各界の皆さまのお力をもお借りして開講する。
それは何よりも、健全な管理組合運営を願い、その一助になればとの思いからである。
各位のご理解・ご協力に感謝するとともに、多くの皆さまの受講を期待する。 (NPO日住協論説委員会)
大規模修繕工事新聞8月号(23-8)