防災対策
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2023年9月5日付第492号「論談」より
■9月は防災月間
9月1日の「防災の日」は、広く国民が台風、高潮、津波、地震などの災害についての認識を深め、対処する心構えを準備するために制定することが閣議決定され、はじまったものである。
今年に入り、地震が多いように感じ、また台風等による大きな水害も想定されるので、マンションにおける防災対策を論じておきたい。
■管理組合の防災責任
マンションにおける防災は管理組合の役割か。管理組合は「区分所有の対象となる建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うために設置される」ことを考えると、一定の責任を負うと考えるのが当然である。
防災対策の範囲については、管理組合を構成する居住者の意識によるところが多い。マンションに自治会や防災会があれば、相互協力の中で自ずと管理組合の分担範囲も決まるだろう。
■安全確保=建物保護
そもそもマンションにおける防災対策の目的や方針はマンション内で死傷者を出さないことを大前提としながら、建物と設備の保全を図ることである。
そのために誰がどこまでの範囲で防災対策を行っていくのかを、管理組合を中心とした居住者であらかじめ決めておく必要がある。
建物の耐震確保は前提として、「建物・設備の点検に必要な図面・鍵・点検手順の把握」をあらかじめ行い、災害が発生したら「建物と設備を確認すること」「エレベーター閉じ込め者の捜索、救出」を行うことは管理組合の責任である。
■事前対策を重視
被災直後は人命救助と初期消火の体制を取ることは当然であるが、被害にあってから助け合うことより、被害を減らす事前の対策を重視する。
例えば、飲料・食料の備蓄がどうなっているのか。トイレはどうするのか。避難所はどこにあるのか(最近は「在宅避難」という考え方もある)、長期停電したらどうするのか等々を管理組合だけでなく、組合員以外の居住者にも加わってもらって、しっかりと考えていきたい。 (NPO日住協論説委員会)
大規模修繕工事新聞10月号(23-10)