「大規模修繕工事新聞」創刊から現在に至るまで、全ての記事をアーカイブ収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を上の<記事検索>にキーワードを入れるだけで表示させて、必要な記事を読むことができます。

ガンバレ 管理組合奮闘記 東京・江戸川区/葛西第2スカイハイツ管理組合

 今年7月、「東京都とどまるマンション」に登録した。
大震災など有事の際、地域の避難所ではなく、マンションにとどまって生活ができるよう、ソフト、ハード面で防災対策の手段をとる管理組合として登録したのである。
 主な登録基準は防災マニュアルが策定済みであり、年1回以上の防災訓練、災害時の連絡体制の整備を行っていること。さらに災害時に稼働させられる給水ポンプ、エレベーター、非常用電源等の設備が備えられていること、など。
 葛西第2スカイハイツでは2007年、自治会が自主防災会を発足。1年ごとの輪番制である管理組合だけで防災訓練等を継続させていくことは困難ということから、自主防災会が中心となって防災訓練を計画・実施してきた。
 しかし、実際には「防災訓練は形ばかりで、本当の災害を想定していない」という雰囲気が強くなっていた。
 転機は2022年4月、江戸川区の支援制度による江戸川区内マンション協議会からの防災アドバイザー(防災士)派遣。この専門家派遣をきっかけに「葛西第2スカイハイツ地区防災計画」の策定を目的に今年1月、自治会の内部機能として位置付けていた自主防災会から独立させ、「防災会」として新たに発足させた。管理規約にある「防災に関する業務」を行う場合、正式に管理組合からの権限移譲を受けて防災訓練等を実行することにした。
 管理組合では「こうした組織の改編により防災対策を大幅に強化することにつなげたい」という。
 「これまでは防災倉庫のかぎはどこにあるのか、地震が起きたら水が流せるのかダメなのか、指示系統などがなく、ただ訓練を行っているだけだった」。
 そこで江戸川区内マンション協議会の防災士や近隣のなぎさニュータウン内の「なぎさ防災会」による指導やアドバイスを受け、2022年4月から防災マニュアル作りを開始。毎週のように災害時のタイムラインなどについてワークショップや勉強会を繰り返し、1年かけて防災マニュアルを完成させた。
 防災マニュアル完成と同時に東京都とどまるマンションに登録。今後は、作ったばかりの防災マニュアルで必要な防災備蓄資器材を取りそろえるため、補助申請を準備中である。

大規模修繕工事新聞 167号 23-11