修繕積立金、適正上げ幅 国交省会議が検討
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2023年12月5日付第495号「論談」より
国土交通省は10月30日、マンションの区分所有者が毎月払う修繕積立金について、適正な引き上げ幅を検討する作業部会の初会合を開いた。
これは、マンションの修繕費などを賄うための修繕積立金が不足するケースが増えているからであり、修繕費の見積もりや徴収額の設定が不十分なことや、資材の高騰のために、修繕工事費が想定し貯めていた修繕積立金を上回っていることなどが理由として考えられる。
◆積立金の目安
国土交通省の検討会では、マンションの適切な管理に支障が出る懸念が高まっているとして、修繕計画や積立金について適切な目安を設けることや、徴収額を当初から高めに設定し同じ金額を徴収していく方式を導入することなどについて、今年度中に議論を取りまとめ、新たなガイドラインを示したい考えだという。
◆適切な維持修繕
マンションでは、適切な維持修繕が欠かせない。
修繕工事ができなければ、マンションの劣化は否めないため、修繕積立金の引き上げも検討し、実施していかなくてはならない。
しかし、居住者の高齢化もあって、引き上げはままならず、共用部分の日常的な維持管理さえできずに老朽化が一層進んでいくという事態になりかねない。
◆ビジョンが必要
自分が居住するマンションはあと何年住み続けることができるのか。建て替えは検討するのか、しないのか。
区分所有者の総意をまとめたビジョンが必要である。それに基づいて今後の自らの団地、マンションの長期修繕計画・大規模修繕工事と資金計画を考えていくことが求められる。
マンションの「2つの老い」(建物の老朽化と住民の高齢化)で修繕積立金の不足や管理不全に陥るマンションの増加が心配されている。
それを防ぐだめには、ビジョンに基づく計画と居住者同士の日頃からのコミュニケーションによって、理事会運営だけでなく日常生活でも相互に助け合える環境を整えていくことが可能になるのではないだろうか。
(NPO日住協論説委員会)
大規模修繕工事新聞169月号(24-1)