令和6年1月1日午後4時10分、石川県能登地方で「最大震度7」の地震が発生。北海道から九州地方にかけて震度6強~1を観測しました。気象庁では一連の地震活動の名称を「令和6年能登半島地震」と定めています。
地震や津波の影響で、現在も崩落、分断された道路、倒壊したビルや家屋など、甚大な被害が報道されています。
大規模災害は他人事ではありません。そして、いつ来るかわかりません。こうした機会に、または改めて、マンションにおける災害対策と準備を再確認しておきましょう。
基本は在宅避難
耐震性に問題のないマンションでは、在宅避難が基本です。部屋にいることが不安、恐怖でストレスを感じる居住者以外は、避難所ではなくマンションで避難生活を送るほうが快適といえます。
このため、眠ることができる部屋と物資の備蓄、携帯トイレセット(弁袋・凝固剤)の用意が必要です。災害後は階下に汚水が漏れることもあるため、トイレを流すことはできません。深刻な二次被害を起こす、このような漏水による問題は、共同生活を送っているマンションでは特に重要となります。
ライフラインであるインフラ設備の被害については、以下のようなことを念頭に置いて準備をしておく必要があります.。
発災後は、道路事情のほか、ごみ配送者の問題やごみ処理場が使用不能になることで生活ごみの収集が滞ります。
マンションのごみ置き場でごみが散乱していると、外部の人も同じ場所にごみを乱雑に捨てるようになる可能性が高くなります。被災時のごみ問題について管理組合で日頃から対応策の検討をしておくべきでしょう。
また、2018年の大阪北部地震(最大震度6弱)では、エレベーターの閉じ込め事故が多く起こりました。最大震度3以上の近畿圏の市町村では3割のエレベーターが緊急停止し、そのうち0.5%で閉じ込め事故が生じました。
閉じ込めは最長6時間に及んだとされています。
ちなみに、都内には約16万6千台のエレベーターがあり、首都圏南部直下型地震では、閉じ込めにつながり得るエレベーターの停止台数は2万2千台以上と想定されています。
自主防災組織のあり方
マンションの管理組合と地域の自治組織(自治会・町内会)との関係はさまざまです。行政と居住者のルートがある自治会・町内会は、自主防災組織としての役割を担っています。
現状では、管理組合を自主防災組織としてルートの確立をしている自治体は少なく、防災に関する助成金や支援制度を活かすためのルートは、例④、例⑤に該当するマンションでは確保されていません。
災害時の共助のためには、日ごろの準備を含めて自主防災組織を設立しておくべきです。さらに、災害はいつ来るかわからないので、管理組合や自治会の役員だけでなく、継続的に防災に関わってくれるメンバーがいることが望ましいといえるでしょう。
地震発生直後の役員の行動マニュアル
地震が発生した直後、自主防災組織がどのように対応するのか、またはその必要があるのか否か判断がつかないと、対応が遅れることがあります。このため、どのような状況でどのように行動するのかあらかじめ明確に決めておく必要があります。
参考引用文献
『災害が来た!どうするマンション』 大木祐悟、伊藤朋子編著 | |
『災害時のトイレ マンション編』 NPO法人日本トイレ研究所編 | |
『マンション管理組合のための震災対策チェックリスト』 (公財)マンション管理センター発行 |
<編集部=次号では、震災で滅失したマンションの復旧のために必要な備えについて、掲載する予定です>
大規模修繕工事新聞 170号2024-02