リゾートマンション定住者が増加 輪番制の復活で注意する点は?
200戸のリゾートマンションです。コロナでリモート勤務が増えたり、都市部のマンションが高騰しているためか、定住者が増えてきました。
これまでわずかな定住者により、輪番制をやめて立候補制として理事会を運営してきました。しかし、新しい定住者から理事会に注文を付けるケースも増え、「それなら、みなさんにも管理組合役員を経験してもらおう」と、輪番制の復活を検討しているところです。
このように立候補制から、再度輪番制に戻す場合、手続きなどで気をつける点はありますか?
規約に規定あれば総会決議が必要、継続性維持に半数交代制などの工夫を
役員の選出方法としては、①立候補制、②推薦制、③輪番制があり、これらの選出方法を個別で採用するケースや、これらを組み合わせて採用するケースがあります。
立候補制とは、役員を公募し、立候補者の中から総会決議を経て選出する方法です。推薦制とは、現役員が中心となって、役員候補者を選出する方法です。輪番制とは、フロアや棟ごとに全体をいくつかのグループに分け、その中から輪番で役員を選出する方法です。
国土交通省の調査によれば、輪番制を採用しているマンションが多いようです。
さて、本件では、立候補制から輪番制への変更を検討されているということですが、まずはマンションの管理規約を確認してみましょう。
管理規約に理事の選任方法を立候補制とする旨の規定がある場合や、役員選任に関する細則にその旨の規定がある場合、輪番制を導入するためには、規約や細則を変更しなければなりません。
管理規約を変更する場合は、総会の特別決議(区分所有者および議決権の4分の3以上の決議)が必要になります。細則の変更の場合は、総会の普通決議(過半数の決議)が必要です。
管理規約や細則に理事の選任方法についての規定がなく、マンションの運用で行っている場合は、特に規約や細則を変更する必要はありません。ちなみに、マンション標準管理規約では選任の方法については特に定められていません。
ところで、本件では、立候補制から輪番制に変更するということですが、全ての理事を輪番制に変更してしまうと、管理組合の継続性が失われてしまい、継続審議事項等について、また最初から議論しなければならないことになりかねません。
そこで、継続性を維持するため、役員の任期を2年とし、その半数を1年おきに輪番制で改選する方法を採用するとよいでしょう。
また、輪番制を採用しながらも、理事長は翌年度の監事に、副理事長は理事長に就任するなどといったルールを併せて盛り込む方法もあります。さらに、2年以上の審議期間を要するような問題に対応するため、過去の理事経験者を専門委員会で残すといった工夫も考えられます。
輪番制には、多くの方が理事を経験することにより、管理組合の管理に対する理解が広まるというメリットがあります。立候補制と違い、理事メンバーが常に入れ替わるので、特定の人が長期にわたって理事を務めることによる管理会社や関連業者との癒着や不透明な運営を防ぐことができます。 ただ、輪番制で理事会への参加に消極的な人が理事になってしまうこともあり、理事会への不参加、理事会の停滞という問題が生じてしまうリスクもあります。
このように、輪番制はメリットもある反面デメリットもありますので、どのような選任方法を選択するかは、当該マンションの特徴なども踏まえ、慎重に判断する必要があるでしょう。
大規模修繕工事新聞4月号(24-04)