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長寿命化の実現へー塗料の役割とは/ 2回 防水とは何か①

 大切な資産(マンション)の価値の向上、長寿命化につなげるため、塗料に何ができるのか、どうすればよいのか―塗料という材料の観点から考える連載企画の2回目です。今回は「防水とは何か①」として、塗料における水の遮断性について解説します。

 マンション資産価値の保護価値向上に最も大切なのは、水(水分)を遮断する性能、防水をいかに考えるかです。
 具体的に防水とはどういうことなのか。
 まず一つ目は水を通さないということ。現在の改修工事における外壁の塗装工事で標準的に採用されている工法は、下塗り1回、上塗りが2回の計3回に分けて塗装を行う工法です。
 3回に分けて塗装する塗膜層のうち、物理的に水、水分を遮断する役割を担うのが一番下にある、下塗り塗膜層です。下塗りは、その厚みで、物理的に防水性能を発揮します。
 外壁の下塗り材は多数ありますが、現在主流(普及品)は「微弾性下地調整材」です。さらに、高付加価値品である「弾性下地調整材」、「外壁用塗膜防水材」などの塗料も新しく出てきており、これらを採用するケースも増えています。
 普及品である微弾性下地調整材でも、高付加価値品のように十分に機能の回復、水分の遮弾性能を付与することができますが、どうしても塗膜の厚みにばらつきが生じてしまう場合があります。
 高付加価値の下塗りは、給気で塗膜が薄くなりやすい部位でも十二分な塗膜の厚みが確保できます。
 このことは、物理的な防水機能(水を遮断する機能)の点で、新たな価値をマンションに生み出すと考えられます。
 塗膜の厚みを厚くするためには、塗装の回数を増やすことでも実現は可能ですが、塗装の回数を増やすことは工事費用の増大へとつながります。
 何十年と採用され、JIS規格でも管理されている普及品「微弾性下地
調整材」よりも、工程は同じ工程の数で、新しい技術で生み出された新たな高付加価値品の下塗りが、選択肢として増えている状況にあり、今後の検討に加えていくことをおすすめします。
<次号は「防水とは何か②」を予定>
大規模修繕工事新聞 2024年6月 174号